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『新たな一面 火side』(火+黒)



学校へ向かう途中、公園の入り口でデカい犬に襲われた。

こちらに走ってきた犬に、突然飛び掛かられたのだ。
当然何の準備もなしにぶつかられた俺は転んでしまったわけだが、まだじゃれついてくる。

基本的に犬は嫌いじゃない。むしろ好きだ。
あまりの人懐っこさに、その犬の頭をぐりぐりと撫でてやった。

ぽんぽんと手を置いたところで、俺の様子に気づいたらしい飼い主らしき奴が、公園の中央辺りから慌ててこの犬の名前(たぶん)を呼ぶ。
それでもそちらを見るだけでふんと鼻を鳴らすこの犬を、首輪からぶら下がってるリードをひいて、飼い主の元に連れて行った。




「火神くん」


聞き慣れないが、聞いたことのある声に呼ばれて。
驚いて顔を上げれば、見知った奴が興味深そうに俺を眺めていた。

しまった。
まずいものを見られた。
特にこれといってまずいわけでもないが、まずいものはまずい。

顔を顰めることしかできず、黒子から視線をそらす。


「犬、好きなんですか?」
「……好きで悪ィかよ」


だめだ。
何となくばつが悪い。
ぶっきらぼうな返答しかできない。


「いえ、僕も好きです」
「…へぇ?」


俺の隣にしゃがみ込むと、犬の頭をぽふぽふと撫でる。
その言葉も行動も意外で黒子を見やれば、無表情のままだと思ったが、僅かに笑っていた。


「…お前、猫っぽいのに」
「なんですかそれ」


なに、というか。
どことなく。

こいつは『猫』に挙げられるような釣り目でも、気分屋でもない。
身のこなしだって、俊敏でもなければ優雅でもない。
強いて言えば、猫っ毛っぽいか?

犬を撫でる黒子を眺めていると、ふと黒子は時計に目をやった。


「そろそろ部活、遅れますよ」
「あ、おお」


見つけたのは、…奴の新たな一面?




end.

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あきゅろす。
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