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『Reconfirmation』(黄火)



ベッドの上、覆い被さってくる男と戯れのように唇を重ねる。
重力に従って落ちてくる黄瀬の金髪が、頬に触れてくすぐったい。

ちゅ、ぴちゃ。
口内で軽く絡まる舌はもっと深まるのかと思いきや、ひとつ大きくちゅっと音を立てる。
離れて焦点の合った先で見えた、濡れた薄い唇。
形のいいそれは上へと移動し額に軽く触れると、黄瀬はもうおしまい、と言わんばかりににっこりと笑んだ。

中途半端に点けられた燻ぶる熱を内側に感じる。
ああ、なんだか物足りない。




「…やんねーの?」

「ん、今日はしないっス」


黄瀬は火神の上から退くと、ぼすんと音を立てて隣に寝転んだ。
視線だけを寄越してした質問の返答に、火神は仰向けだった身体をごろりと返し、うつ伏せになる。


「なんで?珍しい…」

「だってかがみん、明日試合じゃないスか。無理させて負けられちゃたまんないっスもん」


全力出して暴れたいでしょ、と笑う黄瀬に、火神はぱちりとひとつ瞬く。




「…そゆとこ優しいよなオマエ」

「え?好きな相手に気ぃ遣うくらい普通じゃないスか?」

「でもよ、自分のとこ勝たせたきゃ、そのうち当たるかもしんねぇ学校の選手をヤり潰して負かせちまえば楽勝だろ?」

「ええええええ、ちょっともー、なんスかその発想!」


何言ってんのかがみんってば、と黄瀬は眉を寄せ、唇を尖らせる。


「確かに勝ちたいけどさ、ンなズルしたって意味ないっしょ。
 こーやってするコトでかがみん困らせたい訳じゃねぇし、戦んなら正々堂々じゃなきゃ!」


ねぇかがみんだってそうでしょ、と。
そう言って笑うその子供のような笑みに、ふとつられて口元が緩む。


「……うん、オレ、オマエのそゆとこ好きだぞ」


ぽろりと零れた本心。
火神は好きだと思ったら好きと言うし、嫌いだと思ったらはっきり嫌いだと言う。
そんなことは今更で、火神のそういった性格はとうに分かり切っているはずの黄瀬だが。


「…………オレこれでも我慢してんスからあんま煽んないでくださいませんか火神さん」


火神の発する『好意』に、いちいち照れた顔を見せる黄瀬。
その照れを隠しきれず、意味もなく丁寧になる口調も。


「あー…でもやっぱ好きだ」

「…かがみん……」


へにょ、と困ったように下がる綺麗な眉も。
誰よりもとは言わないが、バスケを愛する気持ちも。
何時でも失わないスポーツマンシップも。
合意の上での行為なのに、後に異常なほど身体を気遣ってくれるその心も。

丸々、黄瀬涼太という人間が。



ふとした時に改めて考え、「ああ好きだ」と再確認するこの瞬間が。
火神は、とても好きだったりする。





end.

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