『ヒカリ』(黒子)
『ヒカリ』黒子
火神くんに黄瀬くん。
それに、緑間くん。
『影』に属するボクとは正反対の『ヒカリ』に属する彼ら。
どうしてだかボクは最近、彼らをまっすぐに見ていることができない。
1人なら目を窄める事もなく、問題なく見ることができる。
でも2人になると、ましてや3人にまでなると、…ああ、だめだ、眩しい。
きらきらと溢れるその光は、同じようですべて違う。
火神くんはまるで真夏の光。
咽せ返るような熱さの中、猛々しいまでの更なる熱で、じりじりと世界を焦がす。
黄瀬くんはまるで秋の光。
涼しくて幾分落ち着いた空気の中、時々初夏のような輝きで世界を照らす。
緑間くんはまるで冬の光。
乾いていて冷たい凛とした空気の中、ふと思い出したかのような熱で世界を覆う。
………ああ、眩しいな。
きらきら きらきら 彼らから尽きず放たれる光が。
みんな違うのに。
いろも かたちも すべてちがうのに。
それでもこのひとたちはみんな、おなじ『ヒカリ』なんだ。
眩しいな。
綺麗だな。
―――羨ましいな。
そこまで考えて、ふとじゅうじゅう音を立てている鉄板に視線を落とす。
鉄板の端には中心で焼かれている塊とあぶれて、ぐずぐずとコゲ出してしまった屑がぽつりとあった。
―――まるでバスケのルールから外れたプレイスタイルを持つ、自身に見えてくる。
ボクはどんなに焦がれても、彼らのような光にはなれやしない。
ボクがどんなに足掻いても、所詮は影でしかない。
それでも彼らがどれだけ努力をしたところで、ボクのような影には、『影』にだけは、決してなれる筈がない。
あんなに眩い輝きを持つ彼らが、コートに紛れて隠れることなんてできないんだ。
だからこそボクは存在する。
バスケのコートに存在することが許される。
彼らと、『ヒカリ』と共に居ることが許されるんだ。
複雑そうな表情でもんじゃを突く3人を見上げる。
かつての仲間、かつてのヒカリ、―――そして新たなヒカリを。
『ヒカリ』
・ ・ ・ ・ ・
ありがとう ありがとう。
キミたちが存在しているからボクが存在する。
だから決して、キミたちはその輝きを失わないで下さい。
end.
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