『新たな一面 黒side』(火+黒)
「コラてめ、いい加減にしやがれ」
「やめろっつの、おい!」
部活に向かう道。
通りすがった公園から、聞き覚えのある声がした。
覗いてみれば、大型犬と戯れる火神くんの姿。
怒鳴る口調とは裏腹に、楽しそうな声色と表情。
部活とマジバーガー以外では、初めて外で彼の姿を見かける。
そこには普段からの野性的な迫力はあれど、バスケの時の獰猛さは微塵も感じられない。
プレー中とは違う、年相応の楽しそうな顔。
普段の彼は、自分と比べれば表情豊かな方ではあるが、大抵つまらなそうに顔をしかめているか、不機嫌そうな仏頂面をしている。
少なくとも、自分が見かけるときは。
(…あんな顔もするんですね)
公園の入り口傍、それも彼のいる位置からはほとんど茂みの影となっている場所。
元々影の薄い自分のことだ。
自分から声をかけなければこのままでも気付かれないだろうが、こそこそとするような事でもあるまい。
ゆっくりとした歩調で彼の付近まで行くと、声をかけた。
「火神くん」
「…は、く、黒子っ?!」
驚いたように目を瞠り、勢いよく顔を上げる彼。
自分の姿を視界に捉えた途端、ばつが悪そうに顰める眉。
見つけたのは、彼の新たな一面。
end.
*Next*
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