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詩篇
28.湖月
宛がわれたリボンの色は
僕からは遠くて
また有様を思い知った

摩り切れた指先で
涸れかけの井戸を掘る

息を詰めて四季の花びらを寄越す
そのひとひらが竜巻になる
先立つには未だ盲目過ぎる
あなたを苦しめる静やかな狂い

脈拍を欺いて
形状を諦めて
心ごと爆発して仕舞うのに
あなたは何時迄我慢するの?
それじゃあ今に消えて終う
そっと

閉め切られたドアの向こうは
僕には眩しくて
また感覚を押し潰した

摩り切れた指先で
折れかけの筆をとる

息を抜いて窓の外側を見遣る
その一息が生存を知る
先立つには未だ幼すぎる
あなたを追い詰める複雑な狂い

血液を塗り替えて
反影を塗り籠めて
心ごと埋没して仕舞うのに
あなたは何時迄悲歎するの?
それじゃあ今に消えて終う
ふっと

解らないと言わないで
僕にだけ声を聞かせて
小さくでいい
二人の秘密を

脈拍を聞き入れて
形状を受け止めて
心ごと爆発して仕舞うのに
あなたは何時迄気付かないの?
それじゃあ今に消えて終う
きっと

血液を癒して
反影を許して
心ごと埋没して仕舞うから
あなたは明日も傷付いてるの?
それじゃあすぐに消えて終う

あなたの傍で許してる
今もそっと癒してく
今にきっと
きっと会える

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あきゅろす。
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