怒濤のようにテスト期間はあっという間に過ぎ去っていった。私はやれるだけのことはした。ちなみに歴史には自信があったり。 昼休み、友人たちとお弁当を広げながら、他愛もない話に花を咲かせる。 突然、千佳知ってる?と友人から話題を振られた。 「内緒だけどね。原田先生って、雪村先生と付き合ってるらしいよ」 「マジで?」 「そ、そうなんだ…」 雪村先生は私からみても、とても可愛くて大人で、原田先生とお似合いだなと他人事のように思った。のと同時に、息が詰まるほど苦しくて気が緩めば、今にでも涙が溢れてしまいそうだった。 友人の前ではなんでもない素振りをしながら、話を聞いていく。 「でも原田先生かっこいいのに。彼女がいて、しかも雪村先生とか…少しショックだなぁ」 「それに若いもんね。んでも、私は二組の藤原くんのほうが―って千佳、顔色悪くない?」 教師と生徒、それ以前に私には希望がないのだと泣きたくなった。 「大丈夫?保健室行ってきなよ」と友人が心配してくれていたので、保健室に行くことにした。 「…そういえば」 保健室のドアに手を掛けた時、ふと重大な事を思い出して教室に戻ろうと踵を返そうとした。が、綺麗なソプラノが響いて、腕を掴まれた。 「あ、待って。保健室に用があるんだよね」 「雪村先生…」 「遠慮しないで、さぁ入って」 長椅子に座らせられて、私は自己嫌悪した。保険医は雪村先生ということをうっかり忘れていたのだ。 「えっと…見るかぎり、顔色が悪いね」 「…寝不足です」 どうしたの、何かあった?と問う雪村先生に「貴方の噂の所為です」ととてもじゃないが言える訳もなく。 寝不足は自分の体調管理が出来ていない訳で、保健室は寝不足の奴にベッドを貸すことは無いと思っていた。一刻も早く保健室と、雪村先生と離れたかったから。 「それじゃあ、ベッドで寝てくださいね!」 にっこり笑う雪村先生に驚いた。あっという間に私はベッドに横になっていて毛布をかけられる。 「少ししたら起こしますね」 雪村先生はそう告げてカーテンを引く。私は仕方なく毛布少し自分の方に引き寄せて目を閉じた。 0224/0323 by Shady |