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18:甘すぎる罪
教室に入ってから視線が酷くなった。何故だか見当もつかず、席に着いた。


「千佳!」

「どっ、どうしたの?」


凄い形相で、友人は私の顔を見て私を呼ぶ。いつもと様子が違って理由を問うた。


「どうしたもこうも。昨日、嘘だって言ってたけど、藤堂と千佳が付き合ってるって噂が出回ってるよ!」

「えっ?」


一瞬友人が何を言ってるのかさっぱり分からなかったけど、だんだんと頭の中で処理が終わって。


「嘘!」

「本当だよ」


まわりの騒めきに、耳を傾けてみれば「鈴木さん」や「藤堂くん」だとか私たちの名前が頻りに話題にあがっていた。
急に恥ずかしくなって、自分の机で縮こまる。


「まぁ人の噂も七十五日っていうし、一週間もすれば消えるって」


ぽんぽんと肩を叩く友人に、私は「う、うん」という他なかった。

藤堂くんとは席が遠いから、挨拶もしていない。彼にもその噂は伝わっているんだろう。
それにしても悪いことをしてしまったなと思う。
藤堂くんには好きな人がいるのに、こんな噂が立ってしまっていい迷惑だ。


「ほら、新八」

「鈴木さん、ごめん!」


昼休み、昨日と同じように沖田くんと永倉くんがやってきた。
違うといえば、永倉くんが沖田くんに首根っこを捕まれて引き摺られていることと、そこに藤堂くんがいないことだ。


「俺の所為でこんな噂に!」

「そうだね、新八の声はデカイから」

「お前もちったぁ謝れよ総司!」

「ごめんね」


二人の会話はまるでコントのように掛け合わさっていて、小さく笑いながら「別に大丈夫だから…。」と言う。
けど沖田くんが「ウ・ソ。」と即答し、私は目を丸くした。


「平助から聞いたよ。好きな人がいるんだってね」

「っ…」

「あぁ、誰かは聞いてないから安心してよ」


元はと言えば私が藤堂くんに縋ってしまったのが悪いんだ。
好きな人って言っても、もう…。


「藤堂くんに…、ごめんなさいと伝えてくれるかな」

「分かったよ」


沖田くんの顔には「何で?」という表情がありありと浮かんでいたが、承諾してくれた。




0601 byチェリー


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