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12:限りなく恋情に近かった
それから、私は原田先生と関わることはほとんど無かった。ただSHRとかに顔を合わせる程度。


「鈴木の進路はどうする気でいるんだ?」

「私は――」


先生と面と向かっての二者面談。この学校の二者面談は進路について主に聞く。
そして、私の進路は決まっていた。そのことを伝えると先生は「そうか。頑張れよ」って後押ししてくれた。親には少し嫌な顔をされたので、その言葉は私にとって本当に嬉しかったのだ。

最初はただの憧れ。
先生と関わっていくうちにその優しさに惚れていったのかもしれない。



「鈴木?」

「え…」

「大丈夫?」

「うん。ちょっと思い出していたらぼおっとしちゃった」


思い出に浸っていたら、藤堂くんに心配されてしまった。


「でもね、原田先生のことを好きになっていくと、柄でもないけど…この人だなって思ったの」


この人に私の運命の赤い糸があればな、って。先生と生徒だから、繋がりはないのかもしれないけれど…。


「そうか」

「参考にならなくてごめんね」

「いやいや、少し悩んでたこと吹っ切れたよ。ありがとう鈴木」


もう放課後だし帰ろっかと二人で校門まで歩いていき、別れた。
一人で歩きながら藤堂くんの相手って誰だろうとか、考えてしまった。
だって藤堂くん、恋してる。って見るからに分かりやすかったから。


それより自分は。
私はどうすればいいんだろう。
告白しようって決めたのに、いざとしようと思うと、もう元には戻れない気がして気持ちが揺れる。
心のどこかでは、この関係でもいいと思っている私もいて。
弱い自分がとても情けなく、惨めに思えてきて足取りは重かった。


「先生…」


このままでいいのに。
先生が来年も担任だったらいいのに。
ぐるぐると思考するが、時間は止まらない。




0421 by風雅


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