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04:agitate mind

 あれから支院ちゃんと会うようになってから、幾日たっただろうか。
長い時間会っている気がする。
が、実際まだ数日しか経ってないのに、毎日毎日夜を迎えることが嬉しくある。

毎晩森へ行ってることを、枢は何か気付いていそうな視線を向けてくるけれど黙認している。
こんなところを英達に見られたりでもしたら…と一条は苦笑した。


彼女はいつもそこにいる。
僕よりも早い時間に居て、遠くをぼんやりと見つめているのだ…

「支院ちゃん」
「……、一条さん。こんばんは」
ゆっくりと振り向く彼女に、僕の胸は一段と高鳴る。

僕は、いつものように支院ちゃんの隣に座り込んだ。


「ね、支院ちゃん。
来週に聖ショコラトルデーがあるんだよね」
「………」

「よかったら僕にチョコ作ってきてくれない、かなーって…」
「………」

ヘラヘラと笑っている僕だけれど、内心心臓がバクバクと脈打ち、緊張している。
断られたら無様だなぁ、とか他人事のように思いながら返事を待つ。



「……、…」
支院ちゃんの周りで微かに揺れた空気。

「一条さんは、…そんなもの貰って嬉しいんですか?
貴方なら沢山くれる人がいるでしょう?」

確かに毎年の聖ショコラトルデーには、女の子から沢山のチョコを貰う。
気持ちは嬉しい。

―――だけど。


「だけど、支院ちゃんから貰いたいんだよ…」
僕は支院ちゃんの目を見ながら、つぶやいた。
その声は弱々しくて、情けなかった。


「別に。作ってきてもいいですけど…」
支院ちゃんの頬はほんのり赤くて、僕までも照れた。


9/10ぷちこ


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