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17:the silence of midnight


会いたい。
貴方が好きで、好きで……。
苦しいのに、止められなくて。
人生二度目。
きっと、これが私の人生最大の恋。



「一条、入るよ」

開かれた扉。
入ってすぐの部屋。
その部屋に置かれたソファーに、一条ともう一人誰かが座っていた。

「枢、それに…支院、ちゃん…?」
「昨日ぶりですね、今日は」

「……記憶は?」
「消すなって言ったのは君だよ、一条」
「ありがとう枢…」
驚いたすぐ後にほっとした表情。
くるくる回る。

「…ねぇ一条さん、その人誰?」
一条の隣に座ってる人が声をあげた。

「支葵、彼女は水限支院。普通科の人間だよ」
「普通科の……へぇ」
一条よりも早く、玖蘭先輩が言葉を紡いだ。

「…ふーん、じゃあ俺寝る」
「お疲れさま」
「見張りありがとう、支葵」
ふああ、と大きな欠伸をして去っていく。


「さて、本題には入ろうか」

平穏を終わらせる声。

「ごめんなさい」
もう、分かってる。
一条が謹慎しないといけない理由も、私が誘った禁則事項も。

「罰するなら、一条さんじゃなくて私を」
覚悟は、もう決めた。
妖しく微笑む玖蘭先輩。

「…なら、君も吸血鬼になる?」
「枢!!」
「冗談だよ」
クスクスと笑う、その笑顔が恐い。

「別に私は構いませんよ?」

二人の視線が、私を捕らえる。
「それで一条さんの謹慎が終わって、全ての罪が私のモノになるなら」
一条の顔から、どんどん血の気が引いてゆく。

「どうしたんですか、一条さん?」
空っぽの笑みが零れる。

「……枢、良いかな?少し、支院ちゃんと二人で話しがしたい」
「良いよ。行っておいで」
「ありがとう」
私は一条に手を掴まれて、奥の部屋へと連れて行かれた。


「君は、人間が吸血鬼になることがどういうことか分かってる?」
「分かりません」
当然だ。
人間が吸血鬼になれること自体、初耳なのだ。

「だったら、吸血鬼になっても構わないだなんて、軽々しく口にしないでほしい」
「軽々しく言ったつもりはありません」
だって、あれは私の本心だから。
一条が無事なら、それで良いから。

「一条さんの為なら…身も心も、魂だって、消えたって構わないんです」

「支院ちゃん」

背中に回る一条の腕。
「ありがとう」
二度目の抱擁は、暖かく。

ただ、胸が苦しかった。



11/25 鄙乃











優しい微睡み。
その中で、ずっと眠っていたかった?

別に、それでもいいよ。
貴方の傍に居られるなら。


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