会いたい。 貴方が好きで、好きで……。 苦しいのに、止められなくて。 人生二度目。 きっと、これが私の人生最大の恋。 「一条、入るよ」 開かれた扉。 入ってすぐの部屋。 その部屋に置かれたソファーに、一条ともう一人誰かが座っていた。 「枢、それに…支院、ちゃん…?」 「昨日ぶりですね、今日は」 「……記憶は?」 「消すなって言ったのは君だよ、一条」 「ありがとう枢…」 驚いたすぐ後にほっとした表情。 くるくる回る。 「…ねぇ一条さん、その人誰?」 一条の隣に座ってる人が声をあげた。 「支葵、彼女は水限支院。普通科の人間だよ」 「普通科の……へぇ」 一条よりも早く、玖蘭先輩が言葉を紡いだ。 「…ふーん、じゃあ俺寝る」 「お疲れさま」 「見張りありがとう、支葵」 ふああ、と大きな欠伸をして去っていく。 「さて、本題には入ろうか」 平穏を終わらせる声。 「ごめんなさい」 もう、分かってる。 一条が謹慎しないといけない理由も、私が誘った禁則事項も。 「罰するなら、一条さんじゃなくて私を」 覚悟は、もう決めた。 妖しく微笑む玖蘭先輩。 「…なら、君も吸血鬼になる?」 「枢!!」 「冗談だよ」 クスクスと笑う、その笑顔が恐い。 「別に私は構いませんよ?」 二人の視線が、私を捕らえる。 「それで一条さんの謹慎が終わって、全ての罪が私のモノになるなら」 一条の顔から、どんどん血の気が引いてゆく。 「どうしたんですか、一条さん?」 空っぽの笑みが零れる。 「……枢、良いかな?少し、支院ちゃんと二人で話しがしたい」 「良いよ。行っておいで」 「ありがとう」 私は一条に手を掴まれて、奥の部屋へと連れて行かれた。 「君は、人間が吸血鬼になることがどういうことか分かってる?」 「分かりません」 当然だ。 人間が吸血鬼になれること自体、初耳なのだ。 「だったら、吸血鬼になっても構わないだなんて、軽々しく口にしないでほしい」 「軽々しく言ったつもりはありません」 だって、あれは私の本心だから。 一条が無事なら、それで良いから。 「一条さんの為なら…身も心も、魂だって、消えたって構わないんです」 「支院ちゃん」 背中に回る一条の腕。 「ありがとう」 二度目の抱擁は、暖かく。 ただ、胸が苦しかった。 11/25 鄙乃 優しい微睡み。 その中で、ずっと眠っていたかった? 別に、それでもいいよ。 貴方の傍に居られるなら。 |