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10:poignant sorrow


止まらない歯車は、加速をして。

知られたくなかった、のに。
ありふれた幸せのぬるま湯に、いつまでも浸っていたかった。




 今この瞬間こそが幸せ。だけど、明日は支院ちゃんに会えない。僕の誕生日だというのに…。
 ゴメンね。と謝れば、支院ちゃんは、ただ単調に頷くだけ。
 毎晩会っていたのに、会えないのは初めてだ…。
 支院ちゃんに会いたい、けど吸血鬼だらけの夜会につれてくる訳にはいけない。
 少しは妥協しなくてはいけないのは分かっているけど、やっぱり淋しさは残る。


「一条さん、って」
支院ちゃんはふっ、と顔を上げた。交わる視線に、何故か冷や汗をかく。

「吸血鬼みたいですよね」


多分。いやきっと。
支院ちゃんは、その言葉に深い意味はない、ハズなのに。


心が潰されるように苦しかった。



1107ぷちこ


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