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まるマ


「コンラッド?なんだよ?」
「………貴方は本当に、直ぐ傍で見ていないと心配で心配で堪らないんですよ」
「ごめん、ごめん」
「本当に分かっておいでですか?」
「分かってるってー。だからこうして傍に居てくれればいいだろ?」

 俺を見上げて、楽しそうにユーリは笑う。
 上目気味で見上げて来る表情が可愛い。何もかもが可愛くて仕方がない。
 誰よりも傍にいるし、誰よりも近い距離にいる。誰よりも傍にいたいし、誰よりも近くにいたい。いつだって一緒で離れている方が不自然で仕方ない。
 ユーリも同じように思っていてくれているのだろうか?

「ええ、勿論ですよ。貴方が向こうの世界に居る時は仕方ないとしても、こちらにいる時は絶対に離れません」
「うん」
「何をなさるか不安で不安で仕方ないですからね、見ていなくては」
「うん」

 その間もユーリは俺の腕の中にいる儘だ。普段ならば恥ずかしいだとか男同士だとか、色々な理由を言って離れていくというのに。
 不思議に思って、その顔を覗き込もうとすると、ユーリは更にくっついて来た。


「何か機嫌が良いみたいですね」
「んー?いや、あったかいなぁと思って」

 胸に顔を擦り寄せられる度に、柔らかいその髪が擽る。
 それがとても心地好い。甘えているように、安心し切った姿がとても愛おしいと思う。

「雪が降ってますからね、外は本当に寒いんですよ」

 ユーリが寒くないようにと、なるべくその体を腕の中に入れた。体格差からすっぽり収まっている。
 ふと、ユーリが呟くように言葉を漏らす。

「でも、何か得した気分」
「ユーリ?」
「いつもさー俺のが体温高いから、こうやってくっつくと俺がコンラッドを温めてあげてる感じだけど、今日は逆じゃん?何かいいなーと思って」
「そうですね」

 俺からユーリへと温もりが移っていく事が、心地好く、そして嬉しかった。
 普段よりも、俺の事を感じてくれていればいい。誰よりも傍にいる事をちゃんと感じてくれればいい。


「では、雪の日は俺が貴方を温めますよ」
「あはは。うん、期待してる」

 誰よりもその傍にいて、誰よりも近い距離にいる。
 ずっと、俺はこの距離を変えるつもりはない。
 誰にも譲らない、俺だけの距離。








END

2008.4.9


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あきゅろす。
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