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まるマ


「俺も着てみようかな……」

 唐突に、呟いたような言葉。一瞬オレは自分の耳を疑った。
 だが、コンラッドの表情を見てそれが聞き間違えでない事を確信する。その瞳に本気の色を見つけて、思わず深い深い溜め息が漏れそうになった。
 オレがそれに堪えていると、隣からは「どひゃー」だとか「うひゃー」だとか陛下の奇声が聞こえて来た。

「ユーリ?大丈夫ですか?」

 陛下のあまりの驚きようにコンラッドは心配そうに声を掛ける。何処にそこまで驚かれているのか、納得出来ないようだ。
 だが、陛下の反応は当然の事だろうなと思う。オレだって叫びたい。叫びたいが、オレの場合は陛下と違って後が怖いので耐えるしかないというだけだ。

「えーっ!ちょっ、ちょ、ちょっと!?コンラッドが!あれを!?ネグリジェを!?」

 自分を落ち着かせようと暫く深呼吸をして、陛下は口を開いたが、全く落ち着いていない。
 可哀想な程に、どもったり噛んだりしている。

「ええ、いけませんか?」
「だ、駄目絶対!」

 それでも何とか阻止はしようと、陛下は必死だ。
 そりゃそうだろう。オレだってフリフリピンクのネグリジェ姿のコンラッドなんてみたくない。ルッテンベルクの獅子の名が泣く。

「こ、コンラッドはそのまんまの方が絶対いい!軍服とかの方が凄い似合ってて恰好いいからさ!」
「恰好いい、ですか…?ユーリ、本当にそう思ってるんですか?」
「そりゃそうだよ!百人に聞いたら百人がそう答えると思うよ」

 陛下がどちらの事を指しているのかは知らないが、それにコンラッドは機嫌を良くしていく。
 一言でも「恰好いい」だとか「似合う」と言われた事が嬉しいのだろう。本当に陛下に対しては単純に出来ている。



 その後数日、オレに対してコンラッドは軍服姿を誇らしげに見せるようになった。
 とりあえず、フリフリピンクネグリジェ獅子を阻止出来ただけでも良しとするか。








END

2008.2.23


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あきゅろす。
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