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まるマ
貴方に、たくさんえたいこと教えたいことあったのに。(グレユ)



 大好きなユーリ。誰よりも大好きな私のお父様。
 眞魔国の王様で、誰よりもみんなの事を考えていて。誰よりもみんなの幸せを願っていて。
 だからこそ、余計に私はそんなユーリが大好き。


 温かいベッド。隣にはユーリ。
 私もユーリも、二人ともが眞魔国にいる時はこうしていつも一緒に寝てくれる。
 私がユーリを独り占めしているみたいで凄く嬉しい。私の大好きな時間。
「もしも、なんだけどさ」
 そっと私の頭を撫でながら、ユーリは呟いた。
 ぽつんと小さなそれは、温かいけど何処か寂しい感じもして。凄くユーリにしては珍しいなと思って、私はその顔を見上げた。
「ユーリ?」
「他に方法が無くて、おれが皆の為におれが死んだら」
「……ユーリ……?」
「グレタはどうする?」
 何を言われたか、直ぐには分からなかった。ただ、頭を素通りしただけで意味が私の中では取れなかった。
 だけど、少ししてからようやくじわじわと意味を理解し始めた。
 ユーリが死んだら。ユーリがみんなの為に死んだら。

「グレタ、そんなのやだよぅ…っ」
 死んじゃったらもう会えないんだよ?
 もう、こうやってお話も出来ないし、抱き締めてもらったりも出来ない。
 お父様とお母様みたいに、土の中に埋められちゃうんだよ?
「やだよぅ、ユーリ…っ!」
 考えただけで涙が溢れて来た。後から後から止まらない。
 ユーリが死んじゃうなんて、嫌だよ。絶対耐えられない。
 皆の為にだったとしても嫌。皆に優しいユーリが好きだけど嫌。

「グレタ、ごめんね。もしもの話だよ。ね、だから泣き止んで?」
「ふぇー……ゆぅりぃー…」
 寂しいよ。悲しいよ。辛いよ。
 ユーリが死んじゃったら、なんて考えたくもない。一緒に居られないなんて嫌だよ。
 だって、ユーリが大好きなんだもん。大好きな人が死んじゃうなんて辛いんだよ?
 私だけじゃない。みんなユーリが大好きなんだから。皆悲しむに決まってる。
「ゆーりぃー! ゆーりぃー!」
「ごめんね、グレタ。ごめんね」
 何度も何度もユーリは私に謝った。だけど謝って欲しい訳じゃないの。
 私の中にもいろんな気持ちがあって、ユーリに伝えたい事がたくさんあった。それなのに全然上手く言葉にはならなかった。

 ユーリは優しく抱き締めてくれたけど、なかなか涙が止まらなかった。








END

2010.5.12

よりも優しくて、誰よりも残酷なひと。どうしたらこの気持ちを全部伝えられたのかな?)



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