B/M小説
最初で最後の甘言
忘れ始めたのは、いつだったか。
口にだして、思った。そうだった、自分はアイツを愛していたのだ、と。
思い出す事がないくらい、それはオレの中で当たり前のもので。揺るぎない確固たるもので。
不変、というものがあるならば恐らくそれだろう。
わざわざ口にするのも馬鹿らしいくらいに想っていた。軽々しく口になんてしたくないくらいに大きな存在だった。
手を伸ばしては、触れる事もなくただそこに在るのを確認して。それだけで幸せだった。
届く事がない、遠い存在なのを知っていたから。その隣にと願う気持ちはあれども望む事をしなかった。
……ああ、だけどどうしてだろう。
もう終わりだというのに、その今が一番近くに感じられる、なんて。
「 」
END
2007.10.20
『そういえばそうだったっけ
(忘れていたよ、愛してた事なんて)』
+++++
本当に大切なものは思い出す事はない。何故なら忘れる事がないから。
思い出すのを忘れていたくらい、当たり前になり過ぎていた。
←
[戻る]
無料HPエムペ!