B/M小説
スノーリバース
真っ白で綺麗なそれが好きだった。触ればあまりに冷たいのに、それでも何処か優しさを帯びているようなそれが。
まるでいつも見つめている想い人のようで、ただ眺めているだけでも幸せになれた。
「寒……っ」
降りゆくそれに手を伸ばしそうになり、はっとして止めた。
オレにはあまりに綺麗過ぎたから汚してしまいそうで怖くなった。昔は無邪気に戯れていたのに。
変わってしまったのはそれではなくオレの方だ。それはいつだって変わる事のない白で、何の色にも染まっていないただ綺麗な色で。
いつからだっただろうか、その白さがとても怖くなったのは。何の色にも染まっていないからこそ血に染まるようなイメージが湧き上がってしまい。
オレが汚れてしまったからなのだろう。血と嘘と色々なものでオレは汚れてしまったから。
アイツとの関係だってそれと同じ。アイツは相変わらず綺麗で純粋で、変わったのはオレだ。汚れてしまったのはオレだ。
沢山の人間や天使なんかの血で汚れているのは同じなのにな。どうしてだろう、それでもアイツは綺麗だ。
真っ白なものは怖い。汚してしまいそうで。己の汚さを思い知らされそうで。
END
2007.10.20
『雪、と聞いて、顔をしかめるようになったのは何時からだろう
(昔は無条件に嬉しかった、のに)』
++++++
綺麗なものは怖い。
汚してしまいそうで、とても怖い。
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