B/M小説
令状2.見てばかりでなく、たどたどしくても行動に移すこと。
見ているだけで十二分に幸せだったのだが、とりあえず少しは行動に映してみることにした。
ウイディアに言われたからというわけではないが、少なくとも言われたことは不愉快ではなかった。つまりそれは、オレも心の何処かでは多少なりとも気付いてほしいと望んでいるということなのだろう。
「れ、レイジっ! ご機嫌うるわしゅうっ!」
しかし、何をどう行動に移せば良いのか分からず、前方に見える姿に声が裏返る。
なんでこのタイミングで来るんだ、レイジは。
「ああ、ギル。どうしたんだ、お前何か変だぞ?」
「や、そんなことはないぜ!?」
「熱でもあるんじゃないか? 顔も赤いし……」
「ねぇって、大丈夫だ!」
近付いてくるレイジの顔に、慌てて否定する。
顔が赤いのはレイジの顔が近いからであって、体調になんら変化はない。
しかし、それでもレイジの顔は止まらず近付いてくる。仕舞いには、額と額がくっついた。
オレはもうショート寸前だ。何をやっているんだレイジは一体。何がしたいんだ本当に!
「額も熱い。風邪じゃないのか? 今日は仕事休め」
「……あ、ああ」
パニック状態だったオレは、その強い命令口調で言われた言葉に従ってしまい、結局何も行動できなかったと気付いたのはその数分後だった。
2011.9.18
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