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第四話






「お疲れさーんっ・・って、はっ?」

「!、えっと・・・・お客様、何かお探しでしょうか?」




と言ってもここにあるものはどれも同じようなものばかりだけど。

レジにいる私を見てギョッとする中年の男性に問いかけてみたけど、今度はキョロキョロしはじめる。

ちょっとやだ、今度は私をそんな目で見ないでよ。




「あの、」

「ねぇねぇ、ここの店員さん?」

「はあ、一応」

「じゃーさ、ここにいるはずの青年呼んできてくんない?」



青年ってユーリさんかな?すぐ後ろの事務所でダラダラと休憩しているであろう長髪の男が浮かんだ。いや、その男しかスタッフで知ってる人居ないんだけどさ。

事務所につながるベルを鳴らし、彼が来るのを待つこの中年男性と私。
その間、チラチラ私を見ては溜め息をするこの人を私はひっぱたきたい衝動に駆られてた。

いやだって失礼でしょ。




「あだなー、何かあった、」

「あったってもんじゃないわよ!青年何してくれちゃってんの!?」



奥から何ともだるそうに姿を現したユーリさんに早速怒っているようでどこか情けない声を浴びせた男性を私は内心新手の苦情なのかと黙って一歩引いた。

そんなヒステリック気味な男性にユーリさんは、おーおっさん、と暢気にヘラヘラしながら対応してる。
というかちょっと親しげ?

一体この二人はどういった関係なんだろうか。
困惑しながら自分の仕事をしようと返却物をまとめていたらユーリさんに呼び止められた。




「このおっさんな、」

「はあ、」

「ここの店長。というか社長?」

「はあ、・・って、はあ?!」



店長? 社長? 何じゃそりゃ。
突然の単語に頭がどうかなりそうだ。店長ならともかく社長って。

理解に苦しむ私を見てこの店長だか社長だか解らない人はユーリさんを睨んだ後に私に視線をおくる。

どうして説明してないんだ、ということでユーリさんを睨んだんだろうけど、彼は至ってすまし顔だ。




「えっとね、俺はレイヴンって言ってここの店長やってんの。社長はドンって爺さんがやってたんだけど最近ポッキリ逝っちゃって今は社長の座は空白って訳よ」

「あれ、おっさんが社長になるんだろ?」

「いや、シュバーンがやるみたいよん。って青年!またこんな女の子を雇って!人手が足りないとは言ったけど何考えてんの!」



あ、意外と常識人だったりするのかな。店長さんは趣旨を思い出したかのように怒声をあげた。

けどそんな声に屈するはずがないこの男は軽くいーだろ、の一言。




「そもそもオレの腐れ縁がこいつを薦めてきたんだよ。オレは悪くねぇ」

「いやいや開き直んないでくんない?前はエステルちゃん、その前はグラマーなジュディスちゃん、今度はこの素人地味だこの可愛い子。青年ってばどんだけ女の子引きつければ気が済むの」



素人地味たってなんなんだ。業界用語か。もうやだ、結局至らない人間じゃないかこの人も。

私はどうせここの商品で言う素人地味た女ですよ。と心の中で悪態をついていたら、ユーリさんが反論するように、




「見る目無いなおっさん。こいつ胸は結構あんだろ」



といった。
まあ、・・否定はしないが素人であるかないかなんてそれだけじゃ解んないでしょ。




「それによ、もしヤる事に目覚めたら凄そうじゃねーか」

「!」

「なに?おじょうさんまだなのか?」

「そ。こいつ処女だよ」



そう答えやがりました。・・ユーリさんが。

当の私はあり得ないほど顔が熱い、即ち赤くなってしまっているだろう。嫌な汗をかきながらユーリさんと店長さんを睨んだ。




「セクハラですよっ・・・!」

「これぐらいでセクハラセクハラ騒ぐなよあだな」

「騒ぎます!」



なんて奴だ。私のそんな誰も得しないような話を暴露しちゃってさ。

・・・・ん?まってよ?
逆にこの人は言っているのかな?あの事。




「ユーリさんだって童貞のくせに」

「・・・・」 


あれ、今一瞬時が止まったような。
すると店長さんが吹き出す。




「青年・・・・そうだったわけ?・・ぷ」

「うっせー!良いだろ童貞でもよっ」







20130619






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