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第二話






「んじゃ手始めにこの返却済みのDVD戻してきてくれ」

「・・・・・」



カウンターにズラリと並ぶディスクの入ったケースをあのもろに画像が載っている入れ物に戻してこいと言うのか。

少し…いや、かなり無理矢理に着させられた店員用のエプロンを力一杯握った。全力で拒否したい。フレン同様にこういうのに免疫なんてないのに。





「おーい。聞いてるか?」

「わ、私には無理・・です」

「パッケに入れてくるだけだろ」

「そのパッケが問題なんです」




お互い引かない状況でお客が来店してきた。フレンの幼馴染みである彼、基、ユーリさんは瞬時に対応する。





「いらっしゃいませー。ほらお前も」

「い、いらっしゃいませ…」




ぎこちなく声を出せばお客はニマニマとにやけては店の奥の方へ向かっていった。





「てなわけで戻してこい」

「やです」

「お前なー…。あ、そうか。むっつりか」




フレンの親戚は皆こうなのか?と不適に微笑まれて顔を目の前まで近づけられた。





「ちょ、近いです」

「昔のフレンみたいにこっち方面は苦手ってか」

「そんなことはっ…、て、へ?」



今なんて言ったの?
まさかと思って口にする。





「昔のフレンって、」

「前までは純粋っつーか何つーか、早い話が童貞だったってこと」



え、だったって何?
過去形なの?

私の知らないところでフレンは…




「だったって、」

「一時期彼女が居たんだよあいつ。知らなかったか?」

「知ってた…けど、」

「あいつの歳考えてみろよ。ヤってるに決まってんだろ」




大人の階段を上ってたんですね。

まさかあのフレンが・・・・。
てっきり私と同じだって思ってたのに裏切り者っ!
私一人置いてきぼりか。





「お前は処女っぽいな」

「!、セクハラですっ」

「図星かぁ?」




子どもだなーと頭を撫で回されたお陰で髪がボッサボサになった私は、恨めしそうにユーリさんを見上げた。実際フレンに対しての想いからとった行動で、目の前にいるセクハラ男にじゃない。


ユーリさんは、おーおー怖い怖いと茶化しては笑ってる。
笑っては私を見て一言。





「はは、仲間だな」

「はい?」




いったい何の事だろうと心当たりもないのに頭を捻って考え込んでしまった。





「オレも未経験って事だよ」

「みけ、・・・・え゙っ!!」

「いやーまだ女に縛られない自由な生き方がしたいって言い張ってたら、もうこの歳なのな」

「見かけによらないもんなのね」



本当に。この人モテそうだから、勝手に大人の階段を登り続けてるとんでもない人かと思ってた。





「そういうお前も直ぐに喰われてそうな顔してんのに。歳も同じだっけか」

「そうなんですか。って何で私の歳を?」

「フレン情報だよ」



いったいどこまで聞いてるんだろ。履歴書に書くような必要事項の住所とかそこらへんを教えてるとか?

そもそも履歴書も無しに私は採用されたのかな?





「因みに十才までおねしょしてた事も知ってるぞ」

「・・・・・」




うん。履歴書には書かないことだわ。フレン、そこを教える必要はあったの?

今度会ったら参考書とか汚してやる。なんて小さく地味な仕返しを目論む中、ユーリさんに沢山のDVDを持たされる。





「カウンターが見える範囲は俺も着いてってやるから」

「でも、」

「でもじゃねー。行くぞー」




背中を押されて一番手前の棚のところで制止をさせられた。

何て言うか、うん。
きっと私の目はウロウロとさ迷ってるでしょう。

どこを見ても危ない、ヤバイ。





「タイトルと番号確認して入れていく。それだけだ」

「それだけって、」

「どっちが先に終わるか競争な」



簡単に言ってくれちゃって、……えっとタイトルは、゙新婚の若人妻が、





「お、これお前に似てるぜ」

「似てませんっ」









20130410







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