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弱み






「ジル…」

「…?」




たまに貴方が呟く名前は、一体誰なんだろう。私は今日も疑問に思いながら旅を共にしている。
彼とは傭兵時代に知り合ってそれからジュード達と色んな場所を転々とした。そんな中、プレさという存在を知って彼を少しずつ知ってくと同時に、私は段々アルヴィンに話しかけれなくなっていった。
まるで片思いをしているかのように。けれど私達は、




「…ふぁーすと」

「やあっ…」



恋人だ。彼は薄々私が距離を置いているのには気づいていると思う。
いつもいつも眠った時に違う女の名前を呼んでいるが、ジルとプレザは同一人物なのではないかとここ最近思えてきて少し妬けてくる。そして




「アルヴィンのバカ…」



また、彼の知らないところで悲しむんだ。























「ジュード、ミラは?」

「決戦が迫ってるからって町中の名物品を食べ歩いてるよ」




ミラらしいといえばミラらしい。今度私の料理も食べてもらおうかな。





「あはは、そっか」

「ふぁーすとは一人なの?アルヴィンは?」

「彼は、…宿屋じゃない?わかんないや」

「…ふぁーすと、最近アルヴィンと何かあったの?」




ジュードの心配そうな目。私は嫌いじゃないけど、今は少し見たくない。
きっと最近の私の行動に気づいてたんだろうな。





「何も」

「ほんとに?」

「ほんとー」

「…」




ジュード、やめてよその目。そんな風に悲しそうにしないでよ。




「それじゃ、私少し買い物してくるね」

「う、ん」

「もう!そんな顔しない!」



ジュードの頭をワシャワシャと撫でて、彼とは逆方向へ足を進めた。行く宛ての無い足は人気のない路地に入る。建物で囲まれていて前は行き止まり。
仕方なく踵を返そうと振り返ると、




「よぉ」

「…」



アルヴィンがいた。




「こんな所で何してんの?」

「何って、」

「ジュードを待ってたとか?ここんとこ凄く仲良いもんな、お前ら」



強く肩を押されて壁にぶつかると彼は顔の横に手を付き、私の逃げ場を塞いだ。




「ジュードは関係ないでしょ」

「随分と俺に冷たいな」

「…ジル」

「…」

「ジルって誰っ。……っ!」




今度は肩を壁に押さえつけられた。




「痛い…、アルヴ、」

「お前が代わりになってくれんのかよ」

「へ?」

「お前がプレザの代わりになってくれんのかよっ!」





服に手をかけて乱暴に引き千切る様に脱がれていく。本気だ、彼は…恋人である私を、愛してなんかなかった。




「イヤ!アルヴィンっ…」

「いつもヤッてるだろうが」




知らない…知らない知らない!




「こんな所でっ…、やだ…っんん」




クチュクチュと耳障りな音が耳に響いていく。
こんな乱暴なキスは知らない…。知らないよっ…。

彼の手が下へと向かっていき、




「んんんっ…ぅああ!」





慣らされていないソコを抉じ開けるかのようにして一気に奥まで挿入されてくる彼のアレ。当然痛い、体も身体も。
けど彼は構わず腰を動かす。

そして、




「ア、ルヴィっ…あんっ、いっ…たい…!」

「プレザっ…」

「っ!…やっ…んぁ…やぁあぁぁ!わ、たしはっふぁーすと…あん、あっあ…あ、あ」




必死の抵抗も力量の差でかなわずに私はされるがままに腰をぶつけられ続け、気づけばコトが済んでた。

しゃがみ込む私を余所に彼は自分の身なりを整えると私を置いて立ち去ってった。























宿屋に付けば、彼は平然とコーヒーを飲んでて夕食の支度もされてた。

一体何を考えてるの?アルヴィン…。もう私を愛してないの?……それとも初めから、







「ふぁーすと、」

「…レイア?」

「どうしたの?なんだか疲れてるみたいだけど」

「ううん、お腹が空いただけ」

「なーんだ、直ぐに食べれるようにするね!」





スタスタと厨房へ向かっていくレイアは愛らしいな。
席に着こうとしたら彼はエリーゼを隣に座らせた。いつもは私が隣だけど、さっきの事で気まずい。


いただきますとみんなで声を揃えればそれぞれ食事を始める。




「決戦も間近だ。沢山食事をしよう」

「ミラったら」

「ん?ふぁーすと、食事が進んでないようだが」





ミラに言われハッとする。フォークとナイフを持ってチキンを眺めてるだけなら席を立とう。




「ごめん、…ちょっと横になってくる」






廊下を歩いて複数のベッドが設置されている大部屋に入った。一番手前のベッドを弾ませながら倒れこむ。
アルヴィンの考えてることが全く分からない、その上悪い方向に進んでる気がする。

あんな乱暴にされたのに私は何でまだ彼を想えるんだろうか。





「惚れた弱み、かな」

「何が」




慌てて起き上がっては立ち上がった。そこには彼が立っていて…。





「何?食べてこなかったの?」

「食う気分じゃなかったんだよ」




プレザを想っていたから?

なんてこと聞けるはずもなく、彼に背を向ける。





「なんだよ、ご機嫌斜めか?」

「誰のせいよっ…」

「…だな」




自覚していたのかすんなり受けとめる彼に何だか腹が立ってきたと同時に涙が零れた。
背を向けてるから彼は分からないだろう。





「プレザプレザって。それにあんなことして!私の事なんか、…好きでも、愛してもないくせにっ」

「おい、」

「寄らないで!寄ったら、八つ裂きよ…っ」





そんなことも構わず彼は私の肩に手を置く。そしてゆっくりと抱きしめた。






「何してんの?私プレザじゃないし」

「当然だろ」

「離し、」

「ごめんな」





いきなりの言葉に何も言えなくなってゆっくりと彼の顔を窺がう。けれどよく見えなくてうつむいた。





「お前が好きだよ、心から」

「うそ」

「ただ…ジュードといるのを見てたら、プレザがいればって考えて」





プレザが好きならそう言えばいい。そして私なんかほっとけばいいんだ。





「お前を取られるのが凄く怖かっただけで」

「…、は?」

「嫌な事をしてでも俺を意識させたかったというか…、ああくそっ」

「んっ…」




突然唇を当ててきて無意識に受け入れてしまった。
少し苦しくなって彼を弱弱しく押した。




「…、なんて言えばいいのか言葉が見つからねぇ」

「何よ、それ」

「お前の体も声も髪も心も俺のもので…」




そんな風に考えてくれてたの?安心した途端に涙がまたあふれ出てきた。
そんな私に少し慌てた様子で抱きしめてくる。





「狂ってるって怯えたか?」

「違、…嬉しくて、安心したの」



すると彼は柔らかい表情で、私をそっとベッドに倒した。





「昼間に、」

「まだいけるだろ?」

「…無理って言ってもヤるくせに」

「ご名答」



惚れた弱み。

「あ!あんっあ…や、アルっ」
「もっと腰使えよ、おらっ」
「んんっやら、…らめっそこ…あ、あんっ」

「…どうしよジュード」
「どうしよって…心配して身に来たのレイアでしょ」
「声…響いてるね」
「…も、戻るよレイア」







20121230
ちょっと裏表現少な目になっちゃったかな?
アルヴィンいいですよね、カッコいいし個人的にほっとけないキャラです。
けどアルヴィンに激しくされたら本当に気持ち良く壊れられそう←








あきゅろす。
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