火織様へ 一万打企画
借金を完済して混浴の所謂露天風呂に祝いとしてやって来た。
初めての温泉にわくわくしてみんなと脱衣場で服を脱いでいく。
そう言えば混浴って、男女同じ湯船に浸かるってことだよね?
・・と言うことはルドガーも、
「あ、ふぁーすと。もしかして貴女、ルドガーの事考えてるんじゃないの?」
突然のミュゼの言葉に体が正直に跳ねてタオルで前を隠しながら振り向いた。いかにもニヤニヤと不適に笑みを作る彼女に恐怖さえ覚えた。
「変なコトでも考えてたんでしょ。イケナイ子」
語尾にハートを付けてきたミュゼに恥ずかしくて、入ってくるっ、と言い捨てて脱衣場を出た。
暫くしてみんなと浸かっている。
勿論男性たちも。けれど、
「おいっ!消化されてるぞ!?」
「ぎゃあああっ」
「ナ゙ァ゙ァ゙ー!!」
でっかくなったティポの中でだけど。
なぜ猫のルルまでもが入れられてしまったのか。そもそも猫はお風呂が苦手なんじゃないのか。
聞こえてくる断末魔を他所にミラ達は、おめでとうっ!、と祝いの言葉をかけながらも思いっきり寛いでいた。
私もその一人だけどね。
少し経つと、男性陣はこれ以上は持たないらしく逃げるようにそそくさと風呂場から居なくなった。
なんだか私もはしゃぎ過ぎたのかくらくらしてきて逆上せる前に一人脱衣場に戻った。
景色すごく眺め良かったなー。
今度はルドガーと・・、ってなに考えてんのよ私っ!
さっさと準備されてた物を着て廊下に出るとふらつきながら足元に擦り寄る、
「ナ、ナァ・・ァ・・・」
ルルが居た。余程堪えたのか今にも倒れそうだ。
何とも可哀想なルルを抱き上げて抱っこする。
「良いよなー・・ルルは。柔らかーなクッションで癒されて」
「アルヴィンさんの言う通りです。私なんか寿命が縮みましたよ」
「二人とも。ルドガーがスゴい剣幕で睨んでるよ」
横を・・・・いや、斜め下を見れば壁に持たれ座り込んでいる男性陣。温泉で癒されに来た筈の彼らはとんだ災難だったろう。
はっきり言ってしまえば顔が死んでいる。死体が丁寧に並んでいるかのようだ。
ルドガーに至ってはジュードの言うようにアルヴィンとローエンをスゴい顔で睨んでて少し怖い。
「けどよ、こんな薄い服着てんだ。ルルの奴、直に感じてるだろ絶対」
「羨ましい限りです…」
「せ、セクハラで訴えるよっ」
片手はルルを支えてて塞がってるから空いてる手でルドガーの腕を引っ張って立たせた。
少し外の空気吸った方が良いよと一人ずつ立たせようと今度はガイアスに手を伸ばした時、だった。
ルドガーがバランスを崩し私を押し倒しては、胸に顔を突っ込まれ彼の片手は私の胸を掴んでいた。
「な、な・・っ」
ガッチガチに固まる私の体。
実を言うと恋人ではないこの人。恋人手前だと私は勝手に認識してたりする。
だからだ。こんなに動揺するのは。
「ルドガーっ・・ふぁーすとから離れた方が、」
「うぐっ・・」
「ひっ!?」
中々力が入らない彼にジュードが四つん這いで這いながら私に近寄り彼に手を貸そうとする。
立とうとして両手に体重をかけながら何とか起き上がった彼。それはもう私の片方の胸が何とも言えない感覚に悲鳴を上げるわけで。
「きゃあああっ!!!」
私の口からも悲鳴が出た。
「何事だっ!」
「どしたの!?」
着替えを済ませたのかな、私の悲鳴を聞き付けたミラ達が一斉に廊下に出てきた。
彼女達が見たその光景に、エリーゼは、ひっと小さな悲鳴をあげ、ティポはバホーっと叫んでた。
「ジュード・・・・君は何をやっている」
「ルドガーと一緒になって・・サイテー」
「ミラ、レイアっ!違うよっ」
「借金の次は犯罪に手を染めるなんて。ルドガーも中々の悪だね」
「ノヴァっ!?」
「いくら好きだからって場所も考えずに押し倒すのは良くないわね。面白いけど」
ミュゼに至っては楽しんでいるようにしか思えない。ジュードもとばっちりとばかりに私から離れるが、レイア達の視線が痛そうだ。
ルドガーも漸く上から退きミラが立たせてくれる。
「お前達には制裁が必要だな」
「そうだね」
「おい待てっ!何で俺達まで!?」
そのあと、男性陣の叫びが旅館に響いたのは言うまでもない。
お湯加減は
如何でしょうか?
「ふぁーすと・・さっきはごめん」
「ル、ルドガー。その、私の方こそごめん。そんな風に包帯だらけになるほどの重症になる前にミラ達を止められなくて」
「・・・・」
「あは、・・あはは」
20121205
ルドガーでとの事でしたので、今回も甘くしようとした結果、ギャグチックになってしまいました。楽しめていただければ嬉しいです。リクエストありがとう御座いました!
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