香菜様へ 一万打企画
「のどかだな」
ルルを持ち上げ一言。ルドガーはしみじみと漏らした。木の木陰で本を読んでいたふぁーすとは一旦読書を止め、今度はルルを膝の上に下ろすルドガーへと顔を向ける。
「今日は借金の事も忘れてのんびりできるしね」
「あのな、それは禁句だ」
「ま、たまにはこういう日があっても良いわよね」
「旅に休日はないと思うけど」
ひねくれ者ー、とふぁーすとは彼の髪を大きく乱す。
この休日というのは誰が提案したんだか今では解らないが、皆が同意したからで。
ふぁーすともこの日を待ち望んでいたりもした。毎日戦っては歩き回り、時には走り回り、体も疲れているだろう。
「ね、ルドガー」
「ん?」
「キスでもする?」
「へ?」
途端に顔を赤らめるルドガーだが、ふぁーすとは逆だと心の中で突っ込む。
「したくない?」
「いや、したくないとかじゃ」
「ハッキリしないなぁ。ルルーおいで」
ナァーと鳴きながらルドガーの膝からふぁーすとの膝の上へ移動した。そしてルルを持ち上げ顔を擦り寄せた。
それを見ていたルドガーはなんとも言えない表情でふぁーすとを見ていた。たとえ猫だとしても、それが愛猫だとしても、雄であり即ち男である。
故に、
「?!、わわっ」
こういう事になる。
ルドガーは無理矢理ふぁーすとの肩を引き寄せ横から頭にキスをした。お陰でルルは慌てて地面に着地し彼を睨むように見上げているが、
「ふ・・」
当の本人は勝ち誇った顔であった。
顔の色んな所に唇を当ててくるルドガーにふぁーすとは思わず噴き出す。
「ふふっ、ルルに妬いたの?」
「別に」
「素直じゃないなー」
「・・・・その口、塞いでやるよ」
「んっ、んん」
さっきまで顔を赤らめていたのは何だったのか、大胆にキスをしていたルドガー。
予想外だったのかふぁーすとも驚きに目を見開くが、すぐにそれに応え、目を閉じた。
「ルドガー、」
「ん・・何だ?」
「ルルに妬くなんて、可愛いとこあるね」
「あいつは雄だ」
まあ、ごもっともな意見ではあるがそれも如何なものかとふぁーすとは苦笑いを浮かべ、ルドガーの頬を撫でた。
妬いてくれる彼に自分は愛されてるとふぁーすとは感じた。
今まではそんな事無かったし、寧ろふぁーすとの方がよく嫉妬にかられていたのだ。
「嬉しいな」
「え」
「妬いてくれて、でもね」
嫉妬深いのはイヤだよ?とふぁーすとは言い微笑んだ。それにルドガーは、了解、と頬を緩めながら答えてふぁーすとを抱き締める。
お互いこの時が一番好きなのだ。密着した体から伝わる体温と鼓動が物凄く心地良い。
「いつまでもこうしたいな」
「じゃあいつまでも隣に居てやるんだから」
「ははは、俺もお前の隣に居るからな」
永久の指切り
「居ないと思ったらここに居たし」
「エル、そっとしておこう?」
「風邪を引かぬよう毛布でもかけときますか」
20121130
大分遅くなってしまいました(>_<)ごめんなさい。
甘と言うことでこんな感じに仕上げてみましたっ。・・甘く出来ていますか?
また、立ち寄ってくださいね。リクエストありがとうございました!
無料HPエムペ!