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碧依様へ 一万打企画







最近ルドガーが構ってくれない。最近と言わず、旅を始めてからと言っても過言じゃないかも。

だって隣には絶対あの子が居る。





「ルドガーっ!エル、トマト嫌いって言った」




エルが居る。
こんなちっちゃい子に嫉妬するなんて大人気ないかもしれないけど、でもやっぱり・・寂しいし。

トマトスープにスプーンを沈めて左右に動かす。






「ふぁーすと、食べないのか?」

「え、ああ、・・今日は疲れちゃったしいいや。眠いしね」




話していたジュードとアルヴィンが席を立つ私を目で追いながら、煮え切らないような表情を浮かべた。

私とルドガーの関係を知ってるわけだし、それもそうか。





「あーっ、ちゃんと食べないとダメだよ!」

「あのね、私、」

「もしかしてトマト嫌いなの?エルと同じ子どもなんだー」





何だろう、イライラしてきた。





「嫌いじゃないし子どもじゃないわよ」

「じゃあ食べなきゃダメー」

「ならエルが食べたら私も食べるよ」

「・・え」

「ほら、食べなよ」




エルにキツい事を言っているのは重々承知だ。
不機嫌になると察したのかジュードとアルヴィンが焦りの色を見せてきた。





「、無理!」

「ルドガーが作ってくれたのにね」

「・・でもトマト嫌だし。ルドガーは相棒だしっ」

「相棒なのにトマト嫌いなんだ?」

「相棒だから相棒のエルの嫌いなものを食べてくれるし・・っ」




涙目になるエルに、彼の恋人は私だと本気で頭に来てる自分はどうかしてる。
最低だ。でも歯止めが効かない。





「・・・・バカみたい」

「ふぁーすと、不味いよ」

「ガキ相手に何マジになってんだ」




煩い、正直な私の感想。
でもアルヴィンの言うように子ども相手に本気で喧嘩するなんて。ルドガーと居れる彼女が羨ましいだけなのに。






「・・・・、ごめん。寝る」




一室に入りベッドに俯せに沈む。私って嫌な女だ。エルが何をしたって言うんだろうか。ただの八つ当たり、醜い嫉妬。







「さいってー・・」




がちゃっと扉が開く音がしてチラッと目をやればルドガーが立っていた。





「ルドガー・・・」

「はあ。何でエルにあんな言い方するんだ。大人気ないぞ」

「そんなの・・解ってる」




解ってるもの。でも許せなかった。あなたが私よりあの子を優先するのが。

ただの、・・ワガママだったとしても、別に構わない。私だって人間だし、感情だってあるんだから。





「エルに謝ってやれよ」

「…なんで?」

「何でって・・。明らかにお前の言い方が」

「だってルドガーが、・・」

「・・俺が悪いのか?はぁ、もういい」




バタンと扉を閉められた。

なんで、貴方が怒るの?
なんで・・・・なんで・・、私を見てくれないの、。

私はただ、傍に居て欲しいだけなのに。






それから酷かった。戦闘中でも私とだけ共鳴したがらないし、距離を置かれ、会話なんて入れやしない。

レイアやローエンは、きを使ってくれて助かってるんだけど。














「今日はルドガーとふぁーすとで買い出し行ってきてくれる?」

「そうだな。今手が空いてそうなのお前らだしな」




どう返事をしようか。気まずい状況で彼と買い出しをするのはある意味自殺行為じゃないのか。

けど、このままだと先に支障が出るだろうし。





「私は構わないけど、」

「俺も別に」




意外と乗ってくれたルドガーにドキッとしてしまった。けれど、やはり気まずい。

準備をして街中だし何も起きないだろうと武器を宿屋に置いて外でルドガーを待つ。

すると扉が開き顔を出したのはエルだった。





「エル?」

「あ、買いものでしょ?ルドガーの相棒だからエルも行く」

「そ、そう」

「おい、行くぞ」





いつの間にかいたルドガーに驚きつつも彼の真後ろを歩く。





「俺は武器とか見てくるからお前はグミとか買ってきてくれ」

「解った・・」





一緒に買いものの筈が私一人残され、エルと行動をする彼。
仕方なく私は道具やへ急いだ。



ある程度買い、来た道を戻ろうとしたら変な人たちに絡まれ、路地裏へ連れていかれた。





「ちょっと離してよっ」

「遊ぼうって言ってるだけじゃん」

「こんな所で何して遊ぶってのよ」

「気持ちい事に決まってんだろ?」

「何かしたら痛い目に、・・っ!」



武器を取り出そうと腰にてを置くけど無い。それもそのはず、こんな事想定外で宿屋に置いてきたんだから。





「がっはっはっ、威勢の良いだけの女だ。やっちまおうぜっ」





いや、いやだっ・・・、




「嫌っ・・!」



顔を背けたその時だった。バキ、バキと痛々しい音が耳に響く。恐る恐る目を開くとルドガーがそいつらに殴りかかって剣で脅す。


するとやつらは血相を変えて逃げていった。怖かったこともあり泣いてしゃがみこんでしまうとエルが頭を撫でてくれた。

そして横からルドガーが抱き締めてくれる。いつぶりの温もりだろうか。お陰で涙は止まることを知らないまま流れ続けた。



暫くして泣き止むとルドガーはエルに向かって口を開く。





「ローエンをメールでそこまで呼んだから先に行って宿屋に戻ってろ」

「・・うん、ふぁーすと大丈夫だよね?」

「うん。な?ふぁーすと」




こくりと頷きエルにごめんねと一言漏らせば、彼女は路地裏から出ていった。





「ルドガーごめんなさい」

「謝るなよ。一人にした俺が悪かった」

「ううん。・・私のせいで喧嘩しちゃうし」




そう言うと強く抱き締めてくれる。
言おう、言ってしまおう。
私の気持ちを。





「ルドガー好きだよ。・・ルドガーは私の事・・、好き?」

「当たり前だ、バカ」

「エルにね、嫉妬した・・。デートとか恋人らしいことしてないし、傍にはエルがいつだって、」




突然唇を合わせてきて、私は瞳をそっと閉じた。
そして彼は呟いたんだ。

"バカなやつ "ってね。




路地裏ラブストーリー

「ルドガーとふぁーすと、仲直りできたかな?」
「できてると思いますよ。お二人の帰りを待ちましょう」
「帰る前にあれ食べたいローエン」
「ほほ、構いませんよ。私も食べたいと思っていたところです」




20121128

いかがだったでしょうか?切甘に出来ていましたかね?エルの扱いがいまいち解っていなくてごめんなさい。そしてリクエストありがとうございました!





あきゅろす。
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