来夢様へ 一万打企画
「たあっ!」
最後の魔物を倒してみんなに向き直ると、みんなが勝利を祝っている。
「良いチームワークだったな」
「けどふぁーすと、ちょっと頑張りすぎてない?」
え?
それを言われ私はそうかな?と疑問を抱くも体は動いてるし平気だと自己解決。
暫く歩きながら、ちょっと体に違和感を感じるも、やっぱり平気だと思った。
前を歩くアルヴィンの背を見つめながら黙々と歩く。
「おい、大丈夫か?」
「平気・・」
「その内ぶっ倒れても知らねーぞ」
「うん」
ばたん・・と、音をたてた。私が。
あ、倒れたんだ、と思って居ると抱きすくめられる。
「おいっ、言った側から倒れるってどういう神経してんだよ!」
「どういうって・・」
こういう神経ですけど、なんて悪態をつく元気もなくて、アルヴィンに弱々しく抱き着いてそのまま目を閉じる。
「やっぱりふぁーすと無理してたんだね。今日はもう宿屋に向かおうか」
「だな」
「アルヴィン、そのままふぁーすとを運ぶんですか?」
「ああ」
目を閉じそんな会話を聞いては意識が遠退いていく。
みんな、ごめんね。
目が覚め、一番始めにアルヴィンが視界に飛び込む。
手が温かい。
「アルヴィン」
「起きたな」
安心したように彼は微笑むと私の額にある物を取った。見てみるとどうやら額を冷やすための濡れたタオル。
器に入れて水を絞ってまた私の額に載せてくれた。冷たくて気持ちが良い。
すると彼はどこから出したのか、林檎を取りだし小刀で皮を剥き始めた。
「ふふ、」
「何だよ」
「何だかアルヴィンがこんな事するなんて思いもしなかったから、つい」
「母親で慣れてるからな、こういうのは」
「・・そっか」
そう言われれば、そうなのかも。
少し咳き込んでしまい、本格的に風邪が悪化してる気がしてならない。そしたら、ガタッと椅子を揺らし立ち上がったアルヴィン。
どうしたのかと見上げていると、何処と無く余裕の無い顔をしてる。
「もしかして、風邪移されたくなくて立ったの?」
「だったらこうやって面倒見てねーよ。ただ、」
言葉を濁そうとする彼を黙って見つめていると、重たそうに口を開いては、そっぽを向かれた。
「死ぬかも・・とか、」
「思っちゃったんだ、風邪で」
「あのなふぁーすと、風邪をなめるなよ」
ドカッと椅子に座り直すアルヴィンに頭をぐしゃぐしゃと撫でてきた。
病人だと言うことを忘れてない?
「もうやめてってば」
「くくっ、髪型傑作だな」
「誰のせいよ。大体何で死ぬかもとか思っちゃうの」
「寝込んでる奴が咳き込んだりすると、何故かそう思っちまうんだよ」
「お母さん?」
「・・かもな」
風邪で死んだわけではない彼女。けれどアルヴィンが看ている間、咳き込んだりしたのだろう。
「私は元気だって!ふえっくしっ」
「説得力無いぞ。けどふぁーすとだし心配要らないかもな」
失礼な人。
笑いながら林檎をかじってる目の前の彼。その林檎は私にくれるんじゃなかったのか。
まあ食欲もないしいいか。
「あ、お前も食え」
「要らないよ。食欲ないし」
「風邪の時だからこそちゃんと食えよ、ほら」
切った一つにフォークを刺し私に押し付けてくる。嫌だと毛布を被りにくるまった。
「食え」
「いや」
「食えって」
「じゃあ無理矢理にでも食べさせれば?」
この挑発的な言動がいけなかった。体の上に急に重いものがのし掛かった。たぶん彼が乗ってきたんだろう。すごい力で毛布を捲れる所まで捲れば私の両腕を押さえ込んできた。
「アルヴィン、あの」
風邪のせいか、それとも男女の力の差なのか振りほどけない。
彼は無言で私を見つめ(睨んで?)確実にイラついている顔をしている。・・と思う。
間近に顔があるけど、ぽや〜っとして焦点が合わない。
「ふむっ?!」
「ん、」
そしてそのまま唇を重ねてきた。少し口を開いてしまうと何かが入り込んできたのを感じた。
すると彼は唇を離してニヤッとしてやったりな顔をする。
「食わせたぜ?」
「な、な、」
「それにしてもやっぱふぁーすとの唇は柔らかいな」
「もっ・・ゴホゴホっ」
移っても知りません!
「おい、俺風邪っぽいんだけど・・」
「自業自得でしょ」
「看病してくれよー」
「いーや!」
20121123
来夢さま!リクエストありがとう御座います。アルヴィンの看病ネタやってみました。私自身ちゃんと誰かに看病された記憶がないのでイメージです、はい。
いかがだったでしょうか?
これからもまた遊びにいらしてくださいね。
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