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シリア様へ 二万打企画







久々に会った彼は、随分と…



「マセたね、」

「開口一番にそれなの?」




ジュードは髪型も変えて服装も良い感じになってる。女々しく草食系な(今は違うかもだけど)中身を無視さえすれば、小生意気で活発な俺っ子にしか見えない。





「色気付いた?、いやナルシスト?……どれ?」

「酷いよねふぁーすと。それに僕に訊かれてもなんだか返答できないよ」




ハッキリ言おう、言わせてもらおう。




「カッコイイ」



とね。

聞いた瞬間のジュードは過剰に反応して、頬を掻きながら私から目線をずらしてた。

中身は相変わらす純情のようです。




「照れてる」

「だっていきなり、」

「ミラにしかそういう顔見せないと思ってた」

「え……」




そもそも前の旅で私は最後まで付き合わなかった。ジュードと喧嘩…、というか色々あって険悪なムードになったものだから私は一人、その輪から抜けさせてもらった。

ミラがその後本物のマクスウェルになったとか、またミラが戻ってきたとか、実はそのミラは別世界から来て別のミラだったとか、そのあと私たちの知ってるミラが現れて旅に参加したとか、……。


レイアの情報だけどミラミラミラで私も混乱し始めたから視点を変えてジュードはどうだったと訊けば、いつもミラ一緒にいたと返ってきたのを今でも覚えてる。


もう、二年経つのか。





「元気だった?」

「え、うん」

「そう、良かった。私もそこそこ元気だった」

「ねえふぁーすと、ミラにしか見せないって…」




ジュードは動揺しきった顔で言葉を漏らした。

私、変な事言ったかな?
ううん、感じたことを素直に言っただけ。

けれどジュードは私を見るなり急に拗ねたように顔を背けてきた。





「僕はふぁーすとにも見せてたつもり。…なんだけど」

「はい?」

「なのに旅から抜けるし、…。確かにミラは憧れの対象だけどさ」



いじけた子どものように言う彼は、一言で言うとカワイイ、だ。
なんで急にこんなにカワイイ態度をとっちゃうのこの子。

私だっていじけたいくらいなのに。





「ジュード」

「あのねふぁーすと。僕は君にひとりの女性として見てるって言ったの覚えてる?」

「覚えてるよ。その後ミラが居なくなって生気を亡くしたジュード見たらとても信じられなくて。ま、私を落とそうなんて無理だったってことね」



にっこりと吐き捨ててあげれば、そんな私とは対象にムッと私を見たジュードは、やっぱりかっこいい。

あ、末期かも。





「そんなこと言うんだ?」

「うん。事実だもの」

「ふーん、じゃあ」

「…な、何よ」



ニヤリと口端を吊り上がるのが見えて、少しタジタジになってしまった。




「僕が、ふぁーすとは僕の名前を呼びながら泣いていた、って事を知ってるって言ったらどうする?」

「──!」



どうしてそれをっ。

どう考えてもレイアだ。絶対そうだ。あたふたしながらも腕を前で組んでプイッと体ごとジュードから背けた。





「だったら何。昔の話でしょ」

「ふぁーすとを落とせてたよね?僕」

「どーだか…」




もううまく言い返せない。どうして急に質が悪くなるんだろジュードは。

笑いを漏らしたジュードの声が聞こえて、更に顔が熱くなる私に近づいてくる足音。誰のなんて聞かなくてもわかる。





「ふぁーすと」

「な、っにぃぃ!?」




突然やって来た勢い。彼の腕が私を閉じ込める。





「ちょっと何してっ」

「良いでしょ?僕がこうしたいんだから」

「意味わかんないっ」

「研究も忙しいけど、ふぁーすとを素直にさせる研究もしないといけないかも」




とんでもない言葉の並びに悲鳴をあげたい気持ちで嫌な汗をかきながら至近距離で見つめた。ジュードの悪人のような顔を。





「へ、変態っ」

「なんで?」

「あーもう解ったっ、素直になる!」




そして私は言う。



「食べちゃいたい
 くらい好きよ!」


「…食べてくれるの?大胆だね」
「いっそ殺してっ」





20130320

初のジュード君夢っ。書いていく内にシリアスっぽくなりそうだったので、ぐいーっと甘い方へ進路調整いたしました(笑)
ジュード君はカッコよくなりましたよね。
リクしてくださってありがとうございますっ!!
そして遅くなってしまいました、ごめんなさい。






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