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季空様へ 二万打企画








「あっ」

「ふぁーすとさん?」




早朝から窓を開けて身を乗り出すようにして外を眺めてるふぁーすとさん。
声をあげてたけど何かあったのかな?

名前を呼べばにっこりと笑顔でこちらに振り向いて一言。





「ジェイ、今日は帰れそうだよっ」



ここ数日雪が酷くて、街外れで暮らしてるふぁーすとさんの家に泊めてもらっていたぼくは、窓の外の景色に目を向ける。





「雪解けですか」

「うん!ダクトはまだ修理中らしいけど」




元々歩いて帰れる距離だったんだけど、あの時は雪が酷くて歩いて帰るのは危険だからダクトで帰ろうとしたら動かなかった。

でも完全じゃないけどこれくらいの雪なら帰れそうだ。





「ダクトはなくても大丈夫そうです」

「そ?」

「はい」

「そっか」




また笑った。
ぼくはこの人の笑顔が一番安心感をくれる気がする。

例えるなら、…




「あっ、新芽が出てるよ。もう春だね」




そう、春の暖かな太陽の日差しのような笑顔。ふぁーすとが太陽の日差しなら、強ちぼくは新芽と言ったところでしょう。

こんなにほっこりさせてくれる人居たかな?キュッポ達は別の意味で癒しだし、………あ、やだ。一瞬モーゼスさんが浮かんだ。





「ジェイ?」

「あ、…なんですか?」

「百面相…。そうだっ。春が来たってことで散歩しない?」

「まだ完全に雪は溶けてませんよ。体力は帰るときに取っておきたいです」

「じゃ日向ぼっこは?」




また暢気な、と返す前に床に敷く為の物であろうシートを手で広げて見せてくるふぁーすとさんは、外を指差してた。

日向ぼっこの時点で予想はしてたけど、やっぱり雪解けしたばかりの若干湿った地面の上で横になるらしい。

いや、シートあるから幾分いいけど。


ぼくは手を引かれて芝生の上にシートを敷かされた。
その間ふぁーすとさんは手伝いもしないで駆け回ってる。無邪気で可愛らしいから良い。

……これは少し甘すぎかな?




「準備できましたよ」

「ありがとっ」



ふへへー、と気の抜けた笑い声と共に寝転がるふぁーすとさん。





「ご感想は?」

「……んー」

「満足しないんですか」




仰向けから寝返りをうち、うつ伏せになって考え込むような声が聞こえた。
立っているぼくは背伸びをしながら回答を待った。





「満足するにはあとひとつ足りない」

「と言うと?」




芝生から目線を外してゆっくりと僕を見上げて、そして、。




「問題なのは私の隣にジェイがいないってこと」

「へ」



思わず間抜けな声を出して、ふぁーすとさんを凝視していると横向きになりながら手を広げる彼女。




「だから、おいで」





君の笑顔は世界一。

「きもちいね」
「そうですね。満足ですか?」
「うん、ジェイがいるから大満足」
「そうですか。ぼくも満足です」




20130315

遅くなってしまいました。申し訳ありませんっ。
ほのぼのがいまいち掴めていない管理人ですが、思いっきりのんびりとしたものを書きたいと思いました。
…ちょいと短かったかな?
またいらしてくださいねっ。
リクしてくださりありがとう御座いました。





あきゅろす。
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