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シノ様へ 一万打企画









「君は勝てない。私が君を殺す」

「っ!!」




剣と剣が激しく交わり空かさず後方に下がる。

分史世界とはいえ、未来の俺。
正史世界でも有り得る未来ってことだよな?

俺がエルという存在に執着し過ぎたあまり、ジュードや仲間を殺したっていうのか。





「ああ、それとあの子も手に掛けたぞ」

「・・あの子?」

「君が大事にしていたあの女性」



その時頭に浮かんだ顔は、綺麗な笑顔でいつも傍にいる・・、





「ふぁーすと・・」

「そうだよ、ルドガー」



これから俺が・・殺すのか?
あんなに愛しい人までをも俺が・・っ。





「何で・・何でだっ!!」




がむしゃらにハンマーに切り換えてヴィクトル目掛けて振り回すが、相手も見切ったようにハンマーで受け止めた。






「邪魔だったからだ。愛する妻もいた、エルもいた。けれどふぁーすともエルを奪おうと、」

「違うっ!!俺はそんなっ」

「これがここの現実だっ・・。君の未来だっ。君自身のこれからの選択によって出来上がった未来なんだっ」




何を言ってるんだ?
これからの、選択?

そんなの、解るわけがない。






「君が殺すんだ。皆を、そしてふぁーすとを」





ふぁーすとっ・・・・・。

違う、俺は・・っ、









「殺さないっ!!」

「ルドガー!!」




呼ばれてハッとする。目の前には俺を心配そうに覗き込んでくるふぁーすとの顔。

一体なんだったんだ?今俺は・・。





「ルドガー、魘されてたよ?」

「魘され…てた?」




言われて気づいた。夢だったのかと。ヴィクトルと剣を交えたのはつい最近の出来事。

だからだろうか、凄く現実味の帯びた夢だった。


起き上がると横でぺたんと座って枕を抱き締めてるふぁーすとを見る。その表情はどこか泣きそうだ。

思わず手繰り寄せるように抱き締めて、起きたばかりの脳に今の現実をゆっくりと認識させる。

息を深く吐くと、ふぁーすとは背中に手を回して抱き締め返してくれた。





「私、ルドガーに殺されないよ。きっと」

「……」

「ヴィクトルの夢、見たんでしょ?」



鋭いのか、単に俺が全てを口に出していたのかもう解ったように言葉をこぼすふぁーすと。

俺は申し訳なくなって、腕に力を込める。






「けど、ほんとにルドガーに殺されるなら…ある意味本望だよ」

「殺さないから安心しろ」

「本音よ?」

「ヤンデレみたいなこと言うな。殺さないったら殺さないんだ」




ふふ、と笑ってふぁーすとは俺の首筋に吸い付いてきた。

あ、ヤバイ。


慌てて引き剥がすも時既に遅し。





「まさかふぁーすと…」

「うん、痕残した」

「笑顔で言うことかっ。あーここどうやっても隠せないところだ…」




場所を確認するため刺激のあった所を指で撫でた。どう頑張っても隠せない。

いや、襟を立てれば・・・・。
逆に怪しまれるか。





「誤解されるだろ」

「恋人だし良いじゃん。それ見て勝手に妄想するのはアルヴィンくらいよ」

「けど俺は疲れたって言って自分だけ早めに寝たのにおかしいだろ」

「だってルドガー好きだから。仕方ないんだよ」

「俺だって・・その。好きだよ」

「例え、私が奥さんじゃなくてもきっとルドガーのこと好きで居られる」





奥さんじゃなくても・・、。
切なく聞こえたその言葉に俺はふぁーすとを見つめた。

もしかしてふぁーすとにも、ダメージがでかかったのかも知れないな。
なのに一々受け止めて笑顔を作る。





「写真に写ってた人が奥さんだとしても、私はきっとルドガーの味方でいる」

「気にするな。俺はふぁーすとが居れば良いから」

「でも、」

「でも、じゃなくて。な?」




気にするなと言っても無理な話だろうけど、今の俺はこいつの傍に居るのが精一杯で、最高の喜びと安心で。

後ろから抱き締める形でふぁーすとを閉じ込めて首筋に甘咬みした。





「や、・・噛むの禁止っ」

「ふーん。じゃあ、ん」

「ん?」

「お前からキスしろ」




言ってやれば不安な顔はどこへやら。いっきに顔を赤くして俺を首を捻りながら見ては俯く。





「それじゃ、」

「もうっ、解ったわよ!」




顔を向けてきて唇が乱暴に当たってきた。その不器用さに思わず笑ってしまった。

それが気にくわないのか俺の腕を振りほどいて向き合っては、それほど怖くない顔で睨んできた。





「なに?自分から言ったくせにっ」

「んー、まぁまぁかな」

「はいっ?」

「或いは、・・下手くそ」




頭に手を回してグイっと引き寄せてキスをお見舞いした。





可愛すぎるお前を
殺せやしないさ。


「ルドガー、何で襟立ててるの?」
「なーんか隠してるとか?」
「わっ、アルヴィンやめ、」
「おや〜?この赤い痕は何かなルドガー君?」
「ル、ルドガー・・。疲れてたんじゃなかったの?」
「いいんじゃねーの?それが男だし」
「違うからな!」
「説得力ないよ」





20121209

遅くなって大変申し訳ありません!!甘ーくしようかどうしようか悩んだ挙げ句ごっちゃにしました。始めはシリアスだけにしようとして、けど甘くしちゃいました。
しかもヴィクトルの口調が把握できてないですごめんなさい。
気に入ってくれれば嬉しいです。

それではリクありがとうございましたっ。
またきてくださいね。





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