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まい・でぃあー 04










さーてと、意識無いまま連れてきちゃったけど、あだなってば起きそうにないな。


取り合えず宿屋に連れてきてあたしの部屋の隣まで運んでみた。(運んだのはジェージェーだけど)





「ノーマさん、代金は頂けるんですよね?」

「後で持ってくからさ〜」

「絶対ですよ?カウンターで待ってますからね」





宿屋の旦那がネチネチ小言を良いながら行っちゃった。

泊まるなら代金を払わなきゃだよねー・・・っと。


あだなの腰の穴に手を突っ込んでみる。
お、やっぱポケットじゃん。お金お金・・。

財布みたいなのを感覚的に察知して取り出してみたらビンゴだ。
しかも・・・、





「何これ大金じゃんっ・・!」




入ってたのは札束。そりゃもうこれでもかってくらいの沢山の札束。

え、何あだな、あんたどっかのボンボンっ?
ポケットに他にも何かあるかもっ・・!

もっかい手を突っ込んでみると奥の方に固くて鋭い何かが当たる。何か確かめるためにそれも取り出してみた。






「これって・・あれ?」





何であだながこれを?

明らかに武器だけどさ、この武器って・・、







「んっ・・・」

「ありゃ、あだな起きたー?」

「あれ・・貴女確か」

「ノーマ」

「ノーマ、ちゃん?」

「うおっと!まさかのちゃん付け?」





ちゃん付けとかされちゃあ、グー姉さんを思い出すな〜・・。






「ノーマちゃん」

「ん?なにぃ?」

「強盗?」

「は?」





あだなの鋭い視線を辿ればあたしの両手。その両手にあるモノはあだなの私物達。






「えっとー、あだなこれには、」

「・・・」

「んーと、・・一つずつ説明すると」

「うん」

「意識吹っ飛ばしたあだなを街の宿屋に連れてきて」

「宿屋?」

「そ。んでもって宿屋に寝泊まりするからにはその分の料金を払わなきゃいけないわけよ」

「それで?」

「それであだなのポッケに手を突っ込んじゃいましたお返ししますほんっとごめんなさーいっ!」





空かさず一気に謝る。だってなんだか怖かったし、あたしもバカな事したかもしんないしっ。

でもあだなは予想外にもポカーンとした表情であたしを見てた。


え、なんで?







「そっかあ、宿屋だもんね。お金払わなくちゃね」

「・・・・」

「ノーマちゃん、お金返して?料金払わないと」

「あ、うん・・」





あっれー、なんか流れがおかしいぞ?普通ここは怒られたりするもんかと思ったのに、あだなってば天然だったりする?

あだなが財布を受け取ったら、ありがとうとワケの解らない礼をあたしに言って、ベッドから立ち上がった。そして部屋をキョロキョロ。






「ノーマちゃん、どこで料金を?」

「・・あだなってさ、ボンボンのお嬢様だったりする?」

「ぼんぼん?」

「まいいや。部屋出て階段降りれば受付があるから、そこに居るおっさんに渡せば良いよ」





そっか解ったと言って部屋から出て閉まる筈の扉が寸前で止まった。かと思ったらまた開いてあだなが頭だけ覗かせた。






「ところで何で私は宿屋に居るの?」














料金を払い終えて戻ってきたあだなは何故だかガッチガチだった。何でそんなにガッチガチなんだろ。






「どったの?あだな」

「お、男の人と話したの、受付の」

「まあ、おっさんだし男だろね。おっさんが女だったらビックリだけどさ」

「女なの?」

「いや男だっつの」

「そうだよね・・・、男、おと、こ・・」





何かに取り憑かれたみたいにブツブツ『男、男』って呟いてるあだなに何か恐怖を覚えるんすけど・・。

もしや男性恐怖症とか?でも動物も苦手みたいだし、何だろ、あだなは色々恐怖症とか?






「ゔー、・・男」






でも逆に男に飢えてるー・・なんて事ないよね?それはそれで面しろ・・じゃなくて恐いわ。

よし、やっぱり恐怖症ってことにしよ。・・・けど待てよ〜?そんなら何で・・・・。






「ジェージェーは平気なんだろ?」

「・・・へ?」

「もしあだなが男を苦手とするならさ、何でジェージェーは平気なワケ?」

「男性が苦手?」

「だって男男ってガッチガチじゃんか」






言われて気がついたのか、あだなは考える素振りをしながら頭捻って腕を組んだ。あたしはと言うと無言で考え続けるあだなを余所に自分のノートの文字の羅列を眺める。

ちらっとあだなを見るとまだ同じポーズ。もしかして寝てる?

それはそれで面白いけどさ、なーんかこっちが困るよね。






「おーい、あだな?」

「むむむ〜・・」

「起きてたや、」

「・・・・・」

「・・・・?」

「はっ・・・!!!」






下を向いてた頭が急に正面向いて、あだなの見開いた二つの目ん玉があたしを少しだけ捉えた。あたしはビックリして椅子から転げ落ちたわけだけど。







「いった〜。もーあだなっ、」

「ノーマちゃん、わかったよっ・・」

「何がよ〜っ」

「私男の人嫌いかもっ」

「まーたそんなぶっ飛んだ事言う。じゃあジェージェーはどーなんのさ」

「彼は私の王子だもん」





答えになってない言葉を聞いて、そーですかと苦笑い。・・苦笑いしたくもなるよ。何でそんなに堂々と宣言してんのよ。

その時だった。






「・・ジェイは?」

「え?」






少し焦った感じにジェージェーはと行ってくる。





「何でジェイは居ないの?」

「だってここ、街の宿屋だし。ジェージェーはモフモフ族の村でしょ」

「何で?何で私は宿屋でジェイはモフモフなの?」

「いやだってさ、あだなモフモフ族苦手なんでしょ?だから宿屋に、」

「そんなっ、ジェイに会いたいっ」






・・ゾッコンだわ。ジェージェーも愛されてんねー。あだなはジェイジェイって今にも泣きそうだし。







「ノーマちゃん、ジェイに会いたい」

「今日はだーめ。外もう暗くなんじゃん」

「やだやだ会ーいーたーいー!私会いに行くーっ」

「だーからダメだっつの」






駄々っ子になったあだなを止めながら溜め息をつく。でも夜が危ないのは確かなわけだしさ、あだなを危険な目に遭わすわけにもいかないっしょ。





「えーなんでえ?」

「だってラッコだらけだよ?そんなとこ行ってあだな大丈夫かなー?」

「うっ・・」

「ま、今日はもうここに居なって。あたしも居るしさ」




なーんで納得できないような顔すんのよ。あたしが嫌だっつの?






「あーもーっ!あたしら友達になろって時なのにそんな嫌そうな顔しないでよー」

「友達?」

「そーよっ」

「・・・・・」

「・・・あだな?」

「友達って初めてっ・・」

「・・・・・」






なんたるこった・・。











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