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まい・でぃあー 15






「ジェイ、ダクトに来たは良いけどふぁーすとがどこにいるか見当ついてるのか?」

「いえ、特には。ポッポにモフモフ族みんなでの探索を頼んでおきましたから」




少し待ちましょう。ダクト付近、天気は生憎の雨でみんな濡れてしまっている。それでもここまでくるって言うことは、ふぁーすとさんを放っておけないという事なのだろう。



「ぼくも例外じゃない、か…」

「ジェージェー?」

「いえ…」



置いてきてしまったフィーネさんも心配だけれど、…。


…―ソンナノ決マッテルジャナイ



ふぁーすとさんを殺すと言っているようなものじゃないか。いったい何故フィーネさんが。ソロンさんと知人なのかな。けれど憶測でしかないし、変に考えるのはやめておこう。
ぼくは突き放しても殺すつもりなんてさらさらない。ただ、嫌ってほど脳裏に染み付いてるソロンの不敵な笑みを、思い出してしまったのは事実。だから何なんだ。今思うと馬鹿馬鹿しい話じゃないか。

ふぁーすとさんは何もやっていない。最低なことやっていたのは、彼女の父だ。なのにどうしてあんなにイラついてしまったんだ、ぼくは。

そういえばここは初めて声を交わしたところだな。






『貴方・・私の王子様ね!』

『だって安心しちゃって。やっぱり私の王子さまだね』



王子、か。





「ノーマさん」

「…なに?」

「ふぁーすとさんを…絶対に助けましょう」



突然だったかな。ノーマさんにこんな顔で見られると、…非常に不愉快だけど今はまあ、よしとしよう。



「な〜に?やっぱあだなの事好きなんでしょー?んー?」

「…、さて。武器の手入れでもしようかな」

「あ、図星?」

「切れ味はー、と」

「ひぇあ!!あ、危ないじゃん!!」




手が滑りました、と一言添えて苦無をしまった。殴られた事、まだ恨んでますよ。なんて言ったらまた殴られるだろうから言わないけど。それに…―、まあいい。

しばらくポッポを待っていたらキュッポがいつも以上に素早い動きでこっちへ向かってきたのが一目で分かった。




「ジェイ!分かったキュ」

「ありがとう。それで場所は?」

「蜃気楼の宮殿だキュ」




ああ、なるほど。ソロンの死に場所連れて行ったってわけか。




「それではみんな、行きましょうか」

「ソロンの娘だからって見殺しにするほど俺たちも馬鹿じゃないよな」

「だいたいあの娘っこはなーんもしとらんしな」

「モーすけなんか言ってる事ちがーう!」





さあ、ふぁーすとさん。…今行きます。

みんなでダクトに乗り込んで蜃気楼に宮殿へと移動した。最近来てなかったな、と思いながらも足を進めていくといきなりブレス系の技が飛んできた。みんな擦れ擦れで避けて瞬時に飛んできた方向を見る。そこには知らない男が立っていた。きっとふぁーすとさんを連れて行った二人の男のうちの一人だ。

そんな中一人だけ予想外な反応を見せてくれた。




「お前は確か落石の時にいた男じゃないかっ?」

「落石って何よ?クー」

「落石があってフィーネが下敷きなってると教えてくれた男だ!」




という事は初めからフィーネさんは…。



「貴様らは俺らの敵だとフィーネから聞いた。何故だ?特にそこの男だか女だか解からねえナリしてるお前はソロンからこくな目に遭ってるらしいじゃねーか」

「確かに、あの人には人として扱われないで苦行ばかりでしたけど。けれどふぁーすとさんは、…。」



アイツとは、全く違う。本当に天と地の差だって言うのにぼくときたら。ひとつ溜息をついて苦無を構えながら口を開く。



「それと、ぼくは男です」











20140112








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