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まい・でぃあー 12






「ソロンって、おめぇ・・・・」

「その名前をここにいる皆さんならご存知ですよね?」

「知っとるいうか…なあ?」



みんながざわめいてる。それもそのはずだよ。

ソロンって言えばジェージェーのくそったれな師匠じゃん。あだながその娘だってーの?
あだなだけはこの場の空気についていけてないみたいで困惑してるあたしらをキョロキョロと見てた。




「ねえ、みんなどうしたの?」

「ボクは貴女の父親には随分とお世話になったものでしてね」



あだなはその場の空気なんてお構いなしにパアッと表情を嬉しそうに明るくした。




「ジェイ?父様を知ってるのっ?なんだ、そうならそうと早く言ってくれれば良かったのに。父様はジェイにも良くしてくれたでしょ?」

「はは、良く・・ね。まあそんな貴女の父を手にかけたのは紛れもなくボク達なんですけどね」



皮肉を交えて言ったジェージェーの言葉に一瞬あだなは固まって口を開く。




「・・手にかけた?」

「いくら貴女でも意味くらい察せますよね?」

「うそ・・、えへへ、また意地悪してるんでしょ?みんなで意地悪なんて、」



信じられないのか周りに居るみんなの顔をゆっくり見回せばみんな俯く始末。最後にあたしと目が合った時には心なしか泣きそうな表情で嘘だよね?と言いたげに必死に笑おうとしてる痛々しいあだなが瞳に映った。

けど、ここであたしが、どっきりでしたぁ!なんてふざけたところで空気も読めてない上に真実が変わる事も無い。




「あだな、こればっかしはホントなんだ」

「ノーマちゃんまでそんな、」

「・・・・・」



もう何も言えなくなっちゃってあだなから目をそらした。





「そんな、・・うそ。みんながそんなことするわけ」

「往生際が悪いですよふぁーすとさん」



あだながフラフラとジェージェーんとこまで行くと腕を掴む。




「ジェイっ・・うそでしょ?あんなに良い父様をなんで殺せるっていうの?」




いまだに真実を受け入れられないあだなの瞳には零れ落ちはしてないものの涙がたまってた。そんなあだなを冷め切った眼で見てるジェージェーは少し怖い。




「良いお父さん?虫唾が走りますね。その手を放してくれませんか?」

「───っ」



そう言ってはあだなに離す暇も与えずに無理に振りほどいて反動であだなは倒れこんだ。そしてまたジェージェーは冷めた目で見下ろす。




「これで分かったでしょう。貴女はもう大陸へ帰れるんです。良かったですね」

「でもジェ、」

「それと言っておきますけど、貴女のように身勝手で強引な人、誰も相手にしませんよ」



冷淡な瞳でそう言い捨てられたあだなはとうとう溜に溜めた涙を開ききった瞳から静かに流した。




「酷い、よ・・みんな、」

「ふぁーすと、勘違いするな。元はといえばお前の父親が、」

「うそっ!そんな、」



その時だった。フィっちんがあだなをひっぱたいた。慌ててあだなに駆け寄った。




「あだな!!」

「コレが事実なの。彼が言った事は事実」

「!!」


アタシがあだなを支えていると力一杯アタシを押しはなした。




「触んないでよ!!私の父様を殺したんでしょっ?ノーマちゃんも、みんなも!」

「あだな・・それはどうしよーもなかった、」

「うだうだ煩いですね。貴女って。早く帰ってはいかがですか?」




その言葉を聞いたとたん、あだなは走り去ってしまった。ヤバいよね?追いかけなきゃだよね?
急いで立ち上がって追いかけようとしたら、腕を掴まれて行こうにも行けなくなった。もうなんかイライラしながら振り向いてみればフィっちんが両手でがっちりあたしの腕をつかんでた。




「ちょ、離せっての!」

「だめ。私が行ってくる」

「は?あんたあだなを引っ叩いてんじゃんっ、」

「だから、私が行くの」





もう何が何だか分からなくなってきて力がフッと抜けてその場に座り込んだあたしの腕を離してあだなを追いに外に出てった。ジェージェーはフィっちんを呼び止めようとしたみたいだけど諦めたようにため息をついた。




「まさかふぁーすとがアイツの娘だったなんてな」

「ジェー坊もようわかったなぁ」

「これから警戒しなければならないのか頭を抱えるな」



…あだながジェージェーのお師匠さんの娘。でもあだなはあいつと同じじゃないはず。けど、あのソロンの娘なんだよね?

ああ、・・・・どうすりゃいいっての。










20130621






あきゅろす。
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