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まい・でぃあー 11






あ、今日ジェージェーが来いって言ってたっけ。

起きたばかりの目を擦りながらウィルっちの家でも良いじゃん、って悪態つきながら着替えを済ました。




「さーて、あだなんとこに行きますか」




部屋を出て隣の部屋をノックする。そしてガチャっと開いた扉の先に、





「ようやく起きたか」



クーが何故か居た。




「あれ、何でクーがいんの?」

「知らせに。集合場所がレイナードの家に変更になったとな」



街を出る手間が省けると心の中で喜ぶ。クーの後ろに見えるあだなは楽しげに支度をしてた。

何をそんなに、って聞いてみたらジェージェーにお呼ばれされたから凄く張り切ってるらしい。

って言っても、結局はウィルっちの家に集合だからお呼ばれされたことになるのか引っ掛かるけど、…ま、いいや。

それにしても。





「本当にジェイが好きなんだな」

「うん。だって私の王子さまだもんっ」

「そうか。王子様、か」

「クロエちゃんの王子さまはセネル君だもんね。幸せになろうね」

「な、え、へっ!?」




歩いてる最中二人で盛り上がってる。あだなは純粋な笑顔でクーはまっかっかーのおサルさーんみたいな感じ。





「ほらぁ、二人とも。ウィルっちの家に到着したよー」

「寝顔が可愛いんだ」

「あ、ジェイも可愛いしカッコいいっ」

「だぁーもうっ、人の話を聞け!」



なんてやつらだっ。あたし除け者にしてガールズトークに盛り上がっちゃってさ。

えーえーどうせあたしに浮いた話なんてありませんよーだ。




「こーらっ!あたしも混ぜろーっ」



あれ、なんか違ったかな?
けどそれでも無視かいっ!




「それでクーリッジが、」

「俺がどうした?」

「ク、クーリッジっ?」



ナイスタイミングなセネセネに抱きつけばクーは怖い声を洩らしてた。




「それより入らないのか?」

「あ、ああ。そうだな」

「ほらあだなも行くよ」

「はーい」




中に入れば、もう皆揃ってた。勿論フィっちんも。

ソファにはモーすけ、他は立っていて、あたしらも皆に比べて入り口の近くで足を止めた。





「皆さん揃いましたね」

「ジェイ、何なんだ?話って」



ウィルっちが訊いてみたら直ぐに解ると言ったジェージェーに、少し寒気がした。

急にこういう風に集まるときは決まって嫌な予感しかしない。そんなあたしらを知る筈もないあだなは笑顔で次の言葉を待ってる。





「ではふぁーすとさん、貴女は何故遺跡船に来たんですか?」

「え?」

「何か目的があって来たんでしょう。それは何ですか?」

「父様がここで亡くなったからお墓参りに行こうって」



あだなの言葉を聞くなりジェージェーが鼻で笑ってあだなは口を閉じた。





「そんなもの、探してもありませんよ」



皆一斉にジェージェーへと視線を送る。

どういう事?
あだなが嘘ついてんの?

あたしは思わずあだなを見たらこの驚いてるみたい。





「ふぁーすとが嘘ついてるっていうのか?」

「わ、私は本当にこの遺跡船で父様が亡くなったと、」

「ええ。ふぁーすとさんは嘘は言っていませんよ。そして父親が亡くなった場所もこの遺跡船のある所でしょう」

「墓がないってことか?だとすると遺体は大陸に返されたんじゃないのか?」




そっか、それならここに墓石がなくてもおかしくないんだ。
でもクーの予想もジェージェーによって否定される。





「それも違います」

「大陸に運ばれたなら私にも伝わるはずだし…」

「では、ふぁーすとさん。貴女に訊きたいことがあります」

「うん」

「貴女の父親の名前を教えてください。言えば皆も理由なんて直ぐに解る筈ですから」




ジェージェーの言葉がいまいち解らずにいたら直ぐに理解することになる。





「父様の名前は

……ソロン」




ジェージェーの横にいるフィっちんが不適に笑ったように見えた。





20130405







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