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まい・でぃあー 07









「ふぁーすとさんっ」

「ピッポ!」



あれから約一ヶ月。あだなとラッコは見ての通り、




「今日はお出掛けするキュ」

「うん」



ハグをするまでの関係になってた。これってもう克服したも同然でしょ。前なんかキュっちんにも会わせたし、男・・とはまだ微妙だけど特定の人なら大丈夫になったし。





「ねえあだな。ジェージェーん家にもう住めるんでない?」

「あ、そうだよね!ねぇピッポ、モフモフ族の村に行こうよっ」

「大丈夫かキュ?」

「うんっ」




やれやれと見てるけど、何だか娘の成長を見てるみたいでほのぼのする〜。…ってこれじゃまるでおばさんじゃん。


早速ダクトに乗り込んでモフモフの村まで移動する。村に入るとあだなは少しだけビクビクしてたけど、普通にラッコ達に手を振ってた。

そしてジェージェーん家。あたしはドンドンと扉を叩いた。






「こんちわー。ジェージェー」



がちゃっと扉が開くと、




「は?」

「あの・・」



ジェージェーじゃない女出てきた。いや、ジェージェーは女じゃないけどさ。

てゆか、





「だれ」

「あなた方こそ誰なの?」



控えめに言うこの子は何か可愛い。けど、ほんと誰なの。





「あたしはノーマ。んでこっちが」

「ふぁーすと・・」

「ピッポだキュ」

「・・・・ふぁーすと」




人見知り発動中のあだなをこの子が一瞬鋭く睨んだ気がしたけど、気のせい、かな。





「あのさ、あたしら名乗ったんだからそっちも名乗るのが礼儀っしょ」

「ノーマさん、あまり彼女を困らせないで下さい」

「ジェイっ」




今戻ってきたのか後ろからジェージェーの声(と歓喜溢れるあだなの声)がした。
振り向けばもう抱きついてるよ。




「ちょ、離れてください!!」

「やだやだ!やっと会えたんだよ?」




あー、何だかぴっちんがジェラシー感じちゃってるんだけど。
ま、あだなはぴっちんのスキスキオーラを全くと言って良いほど感じ取れてない鈍感ちゃんだから仕方ないよね。





「あの、ジェイさん。この人とは恋人なの?」

「ち、違いますよ!本当に違いますからねっ?」




さっきの女がジェージェー達に歩み寄っては質問をして、あだなは顔を真っ赤にしたジェージェーに強引に押し退けられて尻餅をついてポカーンてしてる。




「ふふ、おかしなジェイさん」

「・・・・」



あ、今ジェージェー更に赤くなってない?てかあだなが。




「あだな、大丈夫?」

「う、うん」

「ジェイ!ふぁーすとさんに何するキュ!怪我をしたら大事だキュ!」



あたしがあだなを立たせてたら、ぴっちんが激怒してジェージェーに怒鳴ってる。





「動物苦手な人がここに居ることの方が大事と思いますけど。何で貴女がここに?」

「あのねっ、私ピッポと仲良くなって動物が大分平気になったの。だからここに住まわせてくれる約束を、」

「ああ、あの約束ですか。申し訳無いですが無理です」

「へ・・」




嬉しそうに話してたあだなの顔は一気に崩れた。そら約束の為に死ぬ気で克服したってのにこんなのってない。





「ちょっとー!ジェージェー冷たすぎ!約束したんなら守りなよっ」

「今はフィーネさんが居るんです。ふぁーすとさんまで住まわせるわけには」




フィーネってこの子?




「ピッポそんな事知らないキュ!」

「ピッポがちゃんと帰ってこなかったのが悪いだろ」

「でもジェイ、私と約束、」

「だから申し訳ないと言ったでしょう」




そんなー、と泣きそうになるあだなをあたしは引き寄せて庇う。





「あたしも納得できないよジェージェー。この子が居るからってのは解ったけど、」

「あの、私のせいなら、私が出ていくよ?」

「いえ、フィーネさんは居て大丈夫ですから」

「じゃ何で私はダメなのっ?」




あたしがこの子によって訊こうとして訊けなかったことを、あだなは自分で訊いてくれた。

そんなあたしらにため息を吐きながらジェージェーは口を開く。





「フィーネさんは落石の事故にあい、ここで治療しました。住む所がない上、あまりこの遺跡船の事も知らないと言うので」

「ちょっと待ってよジェージェー。それあだなにも言えることじゃんか」

「フィーネさんは動物が大好きだそうです。その証拠に直ぐにモフモフ族と打ち解けました」



あだなだって克服したってのに、話聞いてたのかなっ?
でもあたしの勘だと、ジェージェーたぶんこのフィーネって子に惚れてる・・。じゃなきゃこんなに。






「あだな、行こ」

「え」

「もう遅いし、こんなジェージェーじゃ話になんないって」

「そっか・・。ジェイっ、明日も来るね!」




そう元気に言えるあだなは、鈍感だから気づいてないんだろうな。

ダクトに着くとぴっちんが居ない。今日は家で過ごすってことか。ダクトを操作しようとしてあだなを見やると、少し表情が悲しげだ。





「ジェイは・・」

「んもーっ、ジェージェーはいつもあんなんだって!気にすんなーっ」

「うん、私毎日ジェイに会いに行くんだから」




一途なあだなは少しだけ輝いて見えたのは秘密。





20121113








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