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まい・でぃあー 06











最近ピッポを見かけない。同じ家に住んでいる筈なのに。・・まさか何か事件に巻き込ま、





「ただいまキュー」

「ピッポ!」




心配していたぼくを他所に上機嫌で帰ってきた心配の種、ピッポ。





「何日も帰らないでどれだけ心配したと思っ、」

「ジェイ待つキュっ!ピッポは毎日帰ってきてるキュ」

「え、」




キュッポの言葉に疑問を持つ。毎日帰ってきてるなら目にする筈だろう。なのに何故。

色々試行錯誤しているとピッポは自分のベッドでガチャガチャと荷物を纏め始めてる…って、へ?






「ピッポは何してるの」

「ピッポは最近毎日帰ってきてはすぐに出掛けるんだキュ」

「でもなんで荷物なんか、」

「それはキュッポにも解らないキュ。荷物を纏めてるのを見るのは今日が初めてだキュ」




二人で話していたらピッポはそそくさと玄関の扉まで行き開けながらこちらを振り向く。

そして、





「暫くは帰らないキュ。ワケかキュ?野暮なことを訊くなキュ。ピッポは愛を求めてこれから姫を救いに行くんだキュっ。去らばだキュ!」




ぼくらに何も言わせないまま、ばたんと大きな音を発てて出ていってしまった。


ピッポ、ぼくらまだワケなんて聞いてなかったし理由がメルヘン過ぎて伝わってこないよ。

心配は必要無さそうだと判断し、思わずため息が出た。そして更に疑問を抱く。






「キュッポ」

「なんだキュ?」

「ピッポが言ってた姫って誰の事か解る?」

「たぶんふぁーすとさんだキュ」



ああ、居たっけそんなの。こんな言い方酷いとか思われたりするかもしれないけど、彼女と会わなくなって何日も経つんだ。ぼくはぼくで調査の依頼が来て忙しいから彼女の事まで頭が回らない。

まあ、ピッポの様子だと元気にやって・・・・、。





「キュッポ」

「今度は何だキュ」

「ふぁーすとさんは動物が苦手な筈だよね?」

「だからピッポが慣れてもらおうと毎日行ってるんだキュ」





もしかしてぼくと一緒にこの家で過ごしたいが為にピッポで克服しようとして。そんな疲れること考えたくもない。

それに毎日行ってるらしいし、克服出来ていないと見た。彼女の事だ。克服したとなれば真っ先に来るだろう。


もう克服する日なんて来なくて良いとまで思ってしまう。



疲れた体を休ませようと部屋に戻った時だった。玄関の扉が慌ただしく開く音が響いた。

何事かと思い階段を少し降りた所で下の階へ目を移すとクロエさんが焦りの色を見せながら立っている。






「ジェイっ」

「クロエさん、汗だくでどうしたんです?」

「っ!」




汗だくと言う言葉に過剰反応して一歩下がるクロエさんをやれやれと眺める。





「急用ですか?」

「あ、ああそうなんだ!直ぐそこで落石があったらしいんだがっ」

「はい?ぼくは存じてませんけど」




落石?この辺じゃ珍しいな。





「それで女の子が下敷きになったらしくて、」

「何ですって?」

「通りかかってそれを知ったんだが、人が足りなくて助けられてないんだ。だからジェイ、来てくれないかっ?」




それは大変だとばかりにぼくも助けた際に水とか色々必要なものを纏めた。


クロエさんと現場へ向かうと本当に落石があったのが見てとれる。それは本当に村の直ぐ側で何故誰も気づかなかったんだと不振に思うくらいだ。

それに不自然な感じになっている。






「いない」

「は?」

「さっきここにいた青年から話を聞いたんだが、」

「じゃあもう助けられたんじゃ」



そう言葉にしたぼくに、とにかく石達を退かしてみようと言って一つ一つ退かし始めた。
ぼくもやらない訳にはいかず、石に手をかけた。


一時間くらい経つだろうか。誰かいる見込みもなく、せっせと手を動かすクロエさんを見つめる。





「クロエさん、きっともう居ませんよ」

「いいからさっさと退かすぞ。もし万が一の事が、・・!、ジェイ!」




いきなり名前を呼ばれて目をやると、来いと手招きをされた。




「見てみろ!人の手だ!」

「っ、急ぎましょう!」




そして再び大きな石に手を掛けた。








20121026







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