綺麗な朝が
※R-15くらいです。
「ジェイ、や、…。」
「ふぁーすと…。」
今夜は寒いからか、いつもより激しい気がした。
終わった後は、いつも以上に寒くて、意味の解らない不安に駆られる。
隣にいるジェイをチラッと見ると、すっかり寝てるみたい。
「ジェイ…。」
何だか寂しいよ…。少し涙ぐみながらジェイに背中を向けて目を閉じる。けど何故か本格的に涙が止まらなくなってきた。ダメだダメだ、寝ないと。けれど、思いとは裏腹にどんどん涙の出が激しさを増してた。
「ふえっ…。」
どうしよう、ふるふる震えてたらジェイにばれちゃう。そう思ってベッドから抜けようとした時。
「ふぁーすと。」
後ろから腕が回ってきてぎゅうってされた。すごく温かくて尚更涙が止まらなくなった。
「ジェーイ…っ。」
「どうしたんです?」
「ジェイが…足りないっ。」
「え?…今日は積極的なんですね。」
違うそんなんじゃなくて。
「茶化すジェイなんかっ、嫌い…。」
「…ふぁーすと、こっち向いて。」
ごろんと寝返りを打たされてジェイに涙でぐしゃぐしゃな顔を向けた。そんな私に比べてジェイの顔は穏やかだ。
「何も怖いことありませんよ。ぼくは貴方の目の前です。」
「……ごめ、なさい。」
「珍しいですね、弱気なんて。今日はゆっくり寝てください。」
「もっとくっついていい?」
「良いですよ。」
普通に暮らしていて数日前ぐらいから私は変だ。
ずっと首元を見えない何かで押さえつけられたような、その上、何故か孤独感や恐怖心に駆られてしまう。
別に一人じゃない、仲間がいる。怖がる必要だってないのだ。ただ、無性に生きる事≠ェ恐ろしく感じる。
知人の死、争い、許されない失敗、上からの圧力、理不尽な世間。そんな世の中で息をしているって本当はとんでもない事じゃないのか。死≠ネんてすぐ傍ではないのか。
そんな時に恋人の存在に縋り付くも、足りない、全ての不安要素が取り除かれない。
何故…何故なの?
そんな時だった。
「ふぁーすと、聞いてください。」
「なに?」
「ここ最近、きっとふぁーすとは疲れきってるはずです。だって頑張ってたから。」
「……。」
「だから、大丈夫ですよ?大丈夫。安心してよ。」
また涙を流した。
別に欲しい言葉でもなかった。欲しい言葉すら思い当らなかった。でも、ジェイの言葉には力がある。私にとってとても効果のある言葉。ジェイが言うからこそだ。
「ジェイ…っ、ジェ、イ!」
「大丈夫だ、…ふぁーすと。」
その夜私は、今まで以上にぐっすり眠れた。
夢の中は幸せすぎて、暖かくて、けれど、起きた頃にはきっと内容なんて覚えてない。
それでも今回はきっと、きっと、…。
素敵な朝が待ってくれてる。
(おはようジェイ!)
(おはよう御座います。…やけに早起きですね。)
(うん、綺麗だったの。外が。)
(?、…そうですか。)
(ねえジェイ、今日はのんびりしよ。散歩とか。)
(っはは、良いですよ。)
20161127
手が進んでこのようなものを書いてしまった…。
ちょっと短めです。
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