きっと、
「ユリウス、・・・」
「ふぁーすと、俺はもういくよ」
「っだめ!」
夢を見た。ユリウスの。別に恋人だったわけでもなく、特別な感情も抱いていない。・・筈だった。
居なくなってユリウスの夢ばかり見ては苦しくなったり起きた時に涙を流すのは、実はそういう感情があるのかもしれない。
凄い汗を欠いてしまったから、ベッドから抜け出し、宿屋の人に水を頂く。
近くのソファに体を沈めながら飲んでいると、ユリウスの弟がやって来た。ルドガーはある意味では初恋の相手で親友だ。
「ルドガー?こんな真夜中にどうしたの」
「その台詞、そのまんまお返しするよ」
それもそうかと、少しおかしくて苦笑しつつ、私の隣をポンポンと叩いて座るように促した。
ゆっくりと私の隣に腰を下ろした彼は、私の飲みかけの水を取り上げる。
飲もうと言うのだろうか。
「私の飲みかけだよ?」
「別にいい。喉カラカラなんだよ」
そう言っては思いきりコップを傾け口の中へと流れ込んでいく水を黙って眺めてた。
横顔を見て思う。彼とは長い付き合いだな、と。ただの幼馴染みでお互い子供のような感覚で接してきたけど、改めて彼を見て男だ、とかなんとか今更考えたりした。
昔から安心する相手。だからかな?
「っ、・・ふぁーすと?」
彼と腕を組んで擦り寄った。ロビーのソファで何してるんだって思われるかもしれないけど、彼に頭を預けて目を閉じる。
「このままでいよう?」
「何かあったのか?」
「んー?べつに?」
「怖い夢でも見たのか?」
「・・・・・」
怖い、とは少し違う。怖いと言うより、嫌な夢だ。思い出すとルドガーの腕にギュッと抱きつき今度は顔を埋めた。
すると彼は頭を撫でてきて鼻唄を歌う。証の歌。とユリウスは言っていたっけ?
「ユリウスのね、夢を見たの」
「・・そうか」
ルドガーは少し黙ったあとに、また鼻唄を歌い始めた。少し泣けてきて鼻を啜ると、彼は何故か私の体を少し浮かせた。
「わっ!ルドガーっ?」
「よいしょ、っと」
いつのまにか膝の上に下ろされていた。しかも向かい合わせで。
顔が熱くなるのを感じて反らしたけど、彼の手は私を包み込んで胸に閉じ込めた。
「な、何してんの」
「抱き締めてる」
「解ってるそんなのっ」
あたふたしていたら、彼は笑い声を漏らし私はまた頭を撫でられる。
「何笑ってんのっ」
「意識してくれてるのかなー、ってね。お前に限ってそれはないか」
なによそれ、・・・・。思わせ振り?
顔をあげて彼の顔を間近で見つめると、驚いた様に目を見開いた彼。そして穏やかな表情で私にキスをしてきた。
私もされるがままでいた。
「顔を真っ赤にしてたらキスされるぞ」
「今、したじゃない・・」
「してもいい顔してたから」
「・・バカ、変態っ」
今度は私からキスをお見舞いしてやった、のは良かったものの、頭を押さえられ長い長いキスをする事になる。
きっと、
最初で最後の恋
「全くあいつら何してんだ?」
「若いですねー、ホホッ」
「真夜中にコソコソと、昼間でも堂々としてて構わんっ・・」
「おいガイアスもうちょいそっち寄れっ。体がはみ出るっ」
「・・・何してるの、皆」
「ジュードさん、これは男のロマンです」
「はぁ・・・・・」
20121115
ルドガー君のキャラが定まらない← いつも無口にしようか悩んでます。
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