悪戯
「ジェーイーくーんっ」
しーん
「あっれー?ジェイくーんっ」
しーん
「ジェーイーくーんっ!!ジェイ君ジェイ君ジェイ君ジェイ君ジェッイくー、」
バーンッ
「朝っぱらから人の家の前で何してるんですかっ!」
「大声出してた」
「非常識にも程があります」
ジェイが若干寝癖の付いた頭でお出迎えしてくれた。きゃっ、何か可愛いぞジェイ君よっ。そしてその私を見つめる顔・・。
「私が来てそんなに喜んだ顔してくれるなんてーっ」
「睨んでるんですよ」
「そーかそーかっそんなに嬉しいかっ」
「睨んでるんですよ」
「よし、そんなに嬉しいならお姉さんの熱い抱擁と口付けを、」
「さようなら」
もう二度と来んじゃねぇよ、と目が言っているジェイが本気で玄関の扉を閉じようとしたから、慌てて手で押さえる。
「ちょっとちょっと冗談だって!じょーだんっ」
「・・・本当で、」
「口付け以外はっ」
「・・・・サヨウナラ」
「ちょー!!ウソウソごめんなさいっ」
嫌なモノを見るような目で私を見ないでジェイ。色々悲しいからっ。
うん、私がいけないって事は解ってる。約二割私が悪いってことぐらい。残りの八割はジェイの魅力(可愛いしクールだし可愛いし可愛いし)のせいなんだからねっ。
私がついそんな罪な彼に願望を口にしたんだよ。
とか何とかしてる内に、家に入れてもらえた。それもこれもホタテ好きの三匹の勇者のお陰で。
ジェイは寝巻きから普段着に着替えてきて、改めて私をまじまじと見てくる。上から下まで舐めるように。
「舐めるように・・だなんてっ。はうっ」
「・・あの、色々ツッコみたいですが、やめときます」
「やめないでっ、さあっ」
「さあって何ですかっ」
手を広げた私にジェイは咄嗟に一歩引いた。本当に照れ屋だと思う。
「あのですね、変な言動とソレは何ですかっ?」
「変じゃないけど言動は生まれつきだよ」
「・・でしたね。じゃあソレはいったいどういうつもりですか」
何の事か解らないでいると、ジェイが怪訝そうに私の体を指差す。
「えっ、ジェイ私の体に触り、」
「たくないです。ぼくが言ってるのは服装ですよ」
「あーそうだった!忘れてたっ」
ジェイが指摘しているのは私が着ている魔女の服。
「ジェイの為だけに露出度の高い服選んだんだよ?どう?ムラム、」
「ばっ・・!し、知りませんよそんなのっ」
「まあいいや。はい、トリックオアトリート」
私が手を差し出しながら言えば、ジェイはキョトンとしてる。
「何してるんですか」
「お菓子くれないと悪戯しちゃうぞ」
寧ろ悪戯したいくらいだけどね。ジェイに色んな悪戯して色んなジェイを見るんだから。
けどそんな願いも虚しくジェイが飴をくれたことによって消え去っていった。
「はい飴。そう言えばハロウィーンでしたね」
「むむー…そうだよ」
たった一個の飴玉を口に放り込んだ。…あ、オレンジだ。
これがホタテ味なんていう殺人的なものだったら、なんて口に入れてから考えてしまった。
「魔女の服・・」
「気に入ってくれたっ?何ならジェイが着ても構わ、」
「断固拒否します」
清々しいくらい笑顔でキッパリ言われて私は若干ムスッとした。
ま、ジェイが着た瞬間私は自分を止めれるか解んないけど。
「ろくなこと考えてない顔ですね」
「え?たった今ジェイを貪り、」
「今すぐ口を閉じないと苦無で八つ裂きにしてやりますよ」
「・・・・あははー」
もう本当に物騒だなー、と飴玉を口の中で転がしてたらジェイが顎に手を当てて考え始めた。
そして、
「トリック・オア・トリート」
「え?」
「ほら、悪戯しちゃいますよ?」
まさかの展開に私はあたふたする。だいたい私が貰いに来たんだから、・・うん、想定外だったよ。
だから勿論お菓子なんて持ってない。
「あのー、ジェイくん。今持ち合わせてないんだよね。私のお家に行けば沢山あるんだけど?」
「・・・・・」
あーイタズラされるっ・・。質の悪いイタズラされるっ。何だろう、苦無で頭の上のリンゴを割るとか?砕くとか?いや寧ろ私の頭がっ・・。
「あるじゃないですか」
「へ・・?」
あれ、何で視界にジェイの顔しか見えないんだろう。えーと、えと・・・・キスされてる?
「んうぅうっ・・は!」
「・・・・うん、甘い。オレンジですね」
イタズラしちゃうぞ。
「私の飴っ・・」
「あ、そっちですか」
20121030
投稿日::20121104
投稿遅れた!
ハッピーハロウィーンっ!ですっ
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