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晴れて








「アールーヴィーンーっ!!」






早朝・・違うな、夜も明けてない朝。俺はこの大声にいつも嫌気を差している。

まー、無視してなんぼだ。だってまだ眠いしみんなも寝てるし・・。




「んん・・、・・・」

「アールーフーレードーっ!」

「うわっ」



柔らかい感覚から急に固い感覚になり、体が悲鳴をあげた。

どうやら押し落とされたらしい。





「・・・ってーな、なんだよ」

「もーっおはよって言いに来たの」

「はあ?」




前はトイレ着いてきてとか、散歩に行こうとか、何か食べたいとか言ってきてたのに何なんだ今日のは。

するとこいつはスッキリしたように部屋を出ようとしていて、俺はすかさずふぁーすとの手首を掴んだ。






「アルヴィン?」

「おい、まさかとは思うがそれだけのために俺を起こしに来たのか?」



目を一瞬見開いては俺を無表情で見てきた。

いや、まさかな。まさかそんな適当な事で俺の大事な睡眠時間が削られたんじゃないはず、




「そだよー」
「・・・・・・」



そうですか。満面の笑みで言っちゃいますか。

・・・・って。





「そんなの許されると思うなよぉっ?!!」

「ふぇっ?アルヴィン?」



ふぁーすとをベッドへ引きずり込み腕の自由を奪う。

お前の傍迷惑な行動でこっちは色々と限界なんだよ。





「あの、アルヴィン?」

「散々振り回されたからな。何されても文句言えねーぞ」

「え、ちょっ」




顔を近づけようとした。


時だった・・・。





「魔神拳!」

「どわあっ?!」





固い床に虚しく落ちた俺は、ふぁーすとじゃなくて床とキスしてしまってる。


この技には覚えがある。そう、




「優等生くーん?」




しかいないだろ。







「アルヴィン。今ふぁーすとに何しようとしたの?」

「んな怖い顔すんなって」

「無理矢理押し倒したよね」




ハッキリ襲ったって言えばいいのに。思春期は難しいねー。

頭を掻きながら床の上で胡座をかく。ふぁーすとは起き上がってはキョトンとして不思議そうにジュードを凝視。





「ローエン寝ちゃってるし僕が起きてて本当に良かったよ」

「何が?」

「ふぁーすと、危なかったんだよ?」

「えー?」




俺に指を指しながら言うジュードに対して、ふぁーすとは解らないと言うように首をかしげながら俺を見てきた。

というかジュードくん、人に指を指しちゃいけませんって教わんなかったの?





「だいたいふぁーすとも男性陣の部屋に入り込むものじゃないから」

「だってアルヴィンに会いたくて」

「んー・・・・、なんなの?二人ってそういうアレなの?」

「そーゆ、あれ?」




疑問符を沢山浮かべてパンクしそうなふぁーすとを何と無く、・・可愛いとか思った自分は末期だろうか。





「鈍いな〜ジュードくん。ふぁーすとは俺が大好きなんだよ」




そうふざけていってみれば、ふぁーすとはキラキラと目を輝かせベッドから飛び降りその勢いのまま俺に抱きついてきた。





「そうっ!私アルヴィン大好き!」




呆れながら苦笑いするジュードは、ベッドに座り込んで頬杖を立てながら見下ろしてくる。





「どの辺が好きなのかなー?」

「あのね、アルヴィンは全部好きなの」

「全部?」

「うん。嘘つきなアルヴィンも大好きっ。ちゃんと帰ってきてくれるから」




それを聞いた俺とジュードは呆気にとられて言葉が出てこなかった。

俺の方は嬉しくて顔を背けて耳だけを傾ける。





「アルヴィンは私が好き?」

「はぁ!?」

「あれ、・・私嫌いだった?」




唐突な質問に逸らしてた顔もふぁーすとへと向ける。ジュードはというと、ニヤニヤと俺を見ていた。





「お、俺はっ、あ・・あれだっ」

「あれ?」

「あれじゃふぁーすとは解らないと思うよ」




くっそ、このガキ俺とふぁーすとで遊んでやがるっ。ふぁーすとに抱きつかれながらも俺は言葉を必死に探す。





「アールーヴィーン、どうなの?」

「お前なー、」

「好き?嫌い?」




ジュードの顔も腹立つが、ふぁーすとは何でこんなに愛らしいんだよっ。





「だぁもう解った!好きだよっ俺はふぁーすとが大好きだっ」

「ほんとっ?」

「〜〜・・・、ああ好きだよ」

「アルヴィンっ」




いきなり頭を掴まれちゅっ、と音がして一瞬時が止まった。

明らかに今、





「ごちそーさまっ」

「お・・お前っ、」



キスされたっ。

ジュードは口を開けて固まっていて何も言いそうにない。いや、言えそうにないの間違いか。


するとふぁーすとはまた俺に抱きついてきて俺は仕返しにとばかりにキスをしてやった。




晴れて両想い

「アルヴィン君おはよっ。ジュードは?」
「あいつなら座ったまま気を失ってるぜ」
「え?」






20120928



アルヴィンは不意打ちに弱そうだ←






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