私も女なの
「よっ!男前っ」
「その声は・・あだなかい?」
「ご名答」
綺麗な金色の頭を見かけて後ろから声をかけると、振り返っては呆れたような顔をしてる。
「君のその言葉遣いはどうにかならないのか?」
「何を今更。いーじゃんべっつにさ」
「女性らしく話せないないのか?君も大人だろう」
「ほいほーい。そーさせていただきますー」
彼はいつもこれだ。
私を見るなり女性らしくあーしろこーしろと煩い奴だ。
「てかさ、聞いてくんない?ちょーウザいしムカつく事が、」
「君のしゃべり方には頭が痛くなりそうだよ」
「はあ?」
「いや、で、どうかしたの?」
何かを諦めたようにため息混じりで話を進めてくれたフレン。何か腑に落ちないけど気にしないでいよう。
「ユーリがマジでバカっ」
「またユーリか・・」
「だってユーリったら見てらんないよっ!ジュディをチラチラ鼻の下伸ばしながらやらしー目で見てんの!男の本能剥き出しじゃんっ」
「あだな、彼は本能で生きてる奴だよ」
それもそうだけどイライラする。
するとフレンも苦笑いで頭を小さく掻いた。
「彼女の服装は目のやり場が困るからね」
「私だって充分露出してるし」
「君もそうだが、色気は断然向こうの方が、」
「なんでーっ?胸元も足も大胆に出してるじゃんかっ」
「言葉遣い、じゃないかな。君は男勝りなお転婆女性。彼女は女性ならではの仕草、言葉遣い、色気をだね、」
言わせてみれば好き勝手に言ってくれちゃってまあ。私が女として終わってるかのような言い草じゃないの。
「ふざけんなーっ。フレンも立派な変態なんだねっ」
「?!、僕はべ、別にっ」
「ユーリもフレンもただのバカだって解ったっつーの!どーせ?私なんか言葉も荒いし色気なんざないよっ」
耳まで赤くしたフレンが弁解しようとしたけど私は捲し立てる様に言い放ちフレンを横切って早々と歩いて適当な場所へ向かった。
途中、鏡のように私を反射した硝子を暫く眺めてみた。
見た目は大分変わったと思う。年相応に色気付いたような服装をして化粧をして。
レイヴンだって私が口を開く前までは目がハートになってた。
それを言葉遣いひとつで台無しにしてジュディみたいには色気を出せてないみたい。
目のやり場に困る服を着てるのは私も同じなんだけど、ユーリやフレンは昔から一緒だったせいかあまり効果が見られない。
これじゃユーリにはずっとただの幼馴染み止まりの存在だ。
はあ・・・・・、フレンにも悪印象与えちゃうし、お先真っ暗って気分。
「お嬢さん、1人で何してるんですか?」
へっ?ナンパ?
初めてされたそれに思わずドキドキしながら振り向いてみたら、
「・・ユーリ」
が立ってた。
「なーに湿気た面してんだよ。可愛い顔が台無しだぞ」
「そう思ってないくせに」
調子の良いこと言うユーリに少しムカッと来る。
だから顔を背けてやった。
「フレンから聞いたぞ」
「何が」
「心配するなって」
いったい何を心配するなと言ってんのコイツ。睨みを効かせてユーリを見上げた途端、手を引かれてユーリの体に引き寄せられた。
決して抱き締めているわけでもなく、ただ私の手を自分の後ろへと引いたユーリが物凄く至近距離にいるってことで。
「お前はちゃんと女だよ」
私の目と鼻の先にはユーリの肩・・いや、胸板?、彼の頭は私の耳元。それを良いことに囁くその言葉に一気に熱くなった。
「やっ、それ以上耳元で話すな・・っ」
「おもしれー。いじめがいがあるな」
「はあ?!」
今度は抱き締められた。ガッチリと。
私はもう何が何だか理解できない状態で彼の胸に押し付ける頭で必死についていこうとした。
「俺だけが知ってればいいしな」
「意味解んないから、」
「あだなは女の魅力に溢れてるってことをよ」
そう言って私の頭にキスをした。
お前くらいの色気が
俺には丁度良い。
「でも周りからも女として扱ってほしいっつの」
「・・(俺がおっさんやあだなに近づく輩を追い払ってるのは秘密にしておくか)」
20120913
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