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貴方って人は










「あっついなー・・」





帝都の下町で一人、私は噴水前に座っている。日差しは暑いけど、休憩場所としてはある意味最適で。家政婦として一応働いて入るけど、収入はいまいち・・・・て、愚痴を言ったらダメだよね、うん。

それにしても、暑い。




「もうダーリンってば〜」

「ハニーには敵わないな」

「・・・・・」




噴水前だし、カップルが居ても可笑しくはないよね。でもやっぱり見てると暑さが増しそうだわ。
今日は早めに休憩を切り上げるかな。

本来なら私だってあんな風に何回かデートしてる筈なのに、あの男は下町を飛び出したかと思えば、指名手配になってり、帝都がエアルの暴走か何だか知らないけど、城に避難した時もあの男が救っただの何だの。

魔導器が無い今、私の彼氏の筈の彼は沢山の武勇伝をお持ちのようで誇らしいのなんのって・・・。




「んな訳あるかバカ・・」




帝都に一度でも戻ってたなら会いに来てくれたって良いじゃないの。


考えるだけ無駄か。

このサンドを食べ終わったら戻ろう。


口を開けて一口かじる。

もぐもぐと食べながらのどかな下町の景色を眺めてると向こうから賑やかな声がしてそちらを見てみると、団体で・・と言っても数人が歩いてきていた。


観光客か何かかな?

私は段々近づいてくる人達がはっきりと見えてきた時に、食べる口が止まる。

その先頭を歩いてる奴と目が合い、思いきり、うわ・・という嫌な顔をして見せた。





「あだな?あだなか?」
「・・・さてと、」




遠くから呼び掛けてくるあのバカ男を放って仕事に戻ろう。サンドを食べてからだなんて悠長な事言えなくなってしまった。

サンドを仕舞い、立ち上がってそそくさと歩き出した私を見てか、背中に言葉を投げ掛けられる。






「おいあだなっ?」

「・・・・・」




知らない知らないあんな人。

今更なんだってのよ。私を何だと思って、






「あだな!」

「テ、テッド、」

「今日ユーリが下町に来るってさ!」

「・・・・・」





ユーリ、・・あんたは恋人よりご近所のこの子か。

怒りのゲージがフルになりつつもテッドを笑顔で見つめる。でもテッドは怯えるように一歩後退り苦笑いを浮かべてる。

ヤバイ、私笑えてない?






「えっとあだな、・・あっ、ユーリ!」

「よっ、テッド」

「今あだなにも・・えーと、ちょっと用事思い出したからまた後でねっ」

「お、おう」





テッドは私を見るなり慌てたように走っていった。






「あだなも、久しぶりだな」

「・・・」

「?、あだな?」

「何でしょうか?今から仕事なんですけど」




満面の笑顔で振り向いて言うと、彼はギョッとしていた。





「あー・・・あだな、怒ってんのか?」

「なんの事です?私は顔を一度も見せなかった貴方なんて存じてませんけど?」

「それはだなっ、」

「ですから貴方なんか知りません」

「ユーリっ!その方は誰です?」



彼の後ろからひょこっとやって来た綺麗な女の子。





「エステル、こいつは」

「はーん、なるほど?」

「あ、あだなっ、こいつは別に、」

「ふーん?」




笑顔のまま睨みを効かせて彼を見つめて、



「それでは私は仕事がありますの、でっ!」

「い゙っ・・〜!!」




脛を思いきり蹴ってやった。
ふん、そんな可愛い子連れて私に何の用なのよ。



出直してこいばかやろー。

「ユーリっ、大丈夫ですっ?」
「何とか・・」
「あんなに可愛い子なのに青年も罪な男よね〜。おっさん貰っちゃおうかなー」
「・・八つ裂きにされたいか?」
「、んもー冗談に決まってんでしょ!いけず〜」






20120819
投稿日::20120828









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