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不器用








今頃になって後悔する。

昔から甘える事≠しなかった私は、今頃になって甘えてみたいと思ってしまった。

今思うと子供らしくない幼少時代を送っていたんだなって改めて嫌でも自覚する。甘える事も知らず、甘え方も知らず、今の年齢まで過ごしてきた私は、甘えれば少しはユトリが出来るかもしれないと思いつつも心の何処かでそれを許さない私がいて。

以前リタに、甘えたくなる時はあるのかと問うてみるも、別に、研究できればそれで良い、とハッキリ言った。リタぐらいの年齢の時私は甘える事はバカみたいで弱い者がすることだ、なんて可笑しな考えを持ってたけど、今の私はどうだ。甘えてみたいと急に思い始めた。

そんな私は、




「弱い人間・・、それとも」




ただ不器用なのか。





「なーにしてんだ?」

「ユーリ、起きてたの?」

「まあ、な。座って寝るってのも腰痛くて大変だ」





ここにもう一人、不器用な人がいる。少なくとも目の前の彼は上手く甘えられない人に私には感じていて変に親近感までもが湧いてくる。






「ユーリって、甘えたりしないよね」

「あ?そりゃまぁ、この年じゃあな」

「そっか」





ユーリの隣に腰を静かに下ろすとユーリを見る。今にも瞼が閉じてしまいそうなその姿に、何だか可愛いとか思って胸が綻んだ。





「肩貸そうか?」

「あだなはどうすんだ?」

「私の事はいいから。少しは甘えてみたら?」

「ん・・」





肩にやって来た重みに少し緊張が走るけど、素直に応じた彼が意外で何だか嬉しい。





「あだな、お前もたまには甘えろよ」

「無理よ。甘え方なんか知らないから」

「俺にさせてくれた事と同じ事すりゃ良いんだよ」

「なんか、抵抗ある」





苦笑しなが言った私の言葉。甘えてみたいと思ったのに矛盾してる心に呆れてしまいそうになった。

そんな時、肩にあった重みが無くなり、何事かと顔を上げようとしたが叶わなかった。

ユーリが私の頭をぐいっと自分の肩に無理矢理押し付けたから。形だけ見ればそれはついさっきユーリが私にしていた事だった。





「ゆ、ユーリ?」

「よいしょっと」

「へっ?」




更には私の頭に自分の頭を預けてきた。






「お前、身長低くて肩に乗せるには首が痛かったから、これでよし」

「は?」

「お前の頭分高さが増したから丁度良いんだよ、頭預けるにはな。お前もこれで寝れて一石二鳥だ」




やっぱり不器用だ。甘えられない私を甘えさせる手段としてこんな事・・・・。





「ありがとう、ユーリ」

「何の事だか?」





不器用な二人の甘えかた

「バカっぽい・・」
「この二人ってそうなの?」
「皆さんおはよう御座いますっ。・・何を見て、」
「しーっ。嬢ちゃん声大きい!」
「あんたの方がでかいわおっさんっ!」
「ふふ。ユーリとあだな、ぐっすり寝ちゃってますね」






20120822
投稿日::20120828


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