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限界













「・・・・・・・・」

「どうしたんだ?」




最近のふぁーすとは上の空で、ボケッとしてやがる。
漸く返事をしてくれたと思えば浮かない顔だ。






「ないでもない。そろそろジュード達が来るんじゃない?」

「あぁ。にしても久しぶりだな、あいつら。」

「・・・・・そうね」




まただ。またその顔だ。

別に付き合ってるとかじゃねーが、一緒に暮らすようになって大分経つ。始めの内はよく笑ってくれてたし、俺と一緒にバカしでかしたりしてたのに、今じゃ張り付けたような笑顔だ。






「おい、なんか素っ気無いんじゃないのか?」

「別になんでもないわ。あ、きたみたいよ。」

「おいっ・・・・、はぁ・・・俺何かしたか?」





ヘラヘラしながらスタスタ玄関まで駆けていくふぁーすとを、俺は眺めていた。






「アルヴィン久しぶり!」

「よ、久しぶり。相変わらず優等生らしく勉強にお熱なの?」




久しぶりだからか、やけに明るく登場したジュードを見て少し笑えた。






「もう、そんな言い方やめてよね。 僕だって世の中のためを思ってやってるんだから。それよりふぁーすととはどうなの?」

「あ?・・・あ〜と、」

「まさか、・・・・アルヴィンまだ、」

「仕方ないだろっ? 俺だってこんなに・・真剣に考えたのは初めてってくらいだ。中々言い出せないんだよ。しかもな・・・・同じ部屋で過ごしてんだ・・・・・理性の限界っつーのもあってしんどいよ全く。」





俺の切実な願いを苦笑しながら聞いてるジュードを見たら本当に腹がたつ。







「告白ぐらいしたらどうなの? アルヴィンらしくない」

「らしくないってどうなんだ。それに・・
断られたらどうする?」

「・・それはないと思うよ。」

「じゃあ・・・・・傷つけたら、どうする・・・」






プレザの時みたいに傷付けて、呆れられて・・、







「ほっほっほ、アルヴィンさん、もう手遅れかと思われるのですが。」

「ローエン、いたのか。 久しぶりだな。」

「久しいですな・・・・・。 それよりふぁーすとさんを傷つけたらと仰っていましたが、今、現在は傷つけていないんでしょうか?」

「・・・・どういう事だよ」






最近は確かによく浮かない顔をしてるけど、俺に原因があるのか?






「先程、彼女が辛そうにしていたので話を聞いていました。すると彼女は、恋人でもないのに嫉妬するのはお門違いだ、と。」

「嫉妬?・・・・・どういう、」

「アルヴィンさんはプレザさん一筋だと、仰っていましたよ?」

「はぁ?!」





ちょっと待ってくれ・・、そりゃそうだったかも知れねーけど、今はふぁーすとしか考えられねーし、それにあいつそんな事一言も。






「ローエン、そうなの?」

「はい。彼女はプレザさんの様な魅力もない、アルヴィンさんは振り向きもしない、」

「おい、ふぁーすとは魅力的だ」

「存じてますよ。先に会っているけど過ごした時間は彼女が上だ≠ニも言っていました。なのでそろそろ相手を見つけ、」

「相手をって・・っあいつ・・・・、」





そんな風に思ってたなんて。
二十年前はよく遊んだご近所さんだった。

そのあとの時間の溝は・・ふぁーすとは中々埋まってないのかもしれない。





    ガチャ


「お茶菓子持ってきたわ。」

「ん〜、これはいいハーブティですね。ですが、また明日伺います、長旅で疲れてしまいましたので。ジュードさん宿屋へ行きましょう。」

「え?泊まって行かれたらいいのに」

「そうだよ。宿屋みたいに金なんか取らないって。」




急に宿屋に泊まると言い始めたローエンに俺とふぁーすとは困惑して引き留めようとした。

ジュードもワケが解らないとでも言いた気な顔でローエンを見ている。






「僕もアルヴィンに同か、」

「いーえ、ジュードさん。こんな狭い部屋に泊まって行っては腰に響きます。差し詰め私達は床で寝ることになってしまいますよ。」

「ちょっと。何よそれ」

「悪かったな、狭いところで」





貶すだけ貶したローエン。失礼すぎだろ。






「なので、明日また伺いに来ますので。ほらジュードさん行きますよ。」

「ちょ、ちょっと!」




ジュードを無理やり玄関まで押しやって俺の耳元まで来たじーさんはニヤニヤと笑ってる。






「な・・・なんだよ」

「ゆっくり二人の時間を満喫してくださいな。」

「っ!・・・・・全くお節介なジジィだな。」

「何が?ローエンさん、何て言ったの?」





ふぁーすとは気になるのかローエンに詰め寄って興味津々だった。






「ふぁーすとさん、野暮なことは聞かない方が身の為ですよ?なんせ男のロマンですから・・・バリボーは」

「バっ・・・・?!」





一気に顔を赤くしたふぁーすとは一歩引いて怪しいものを見る目で俺とローエンを交互に見る。






「それではまた明日」




気さくに出ていったローエンを見送ってはふぁーすとが口を開けた。





「なんて話してたのよ。バ・・・・バリボー・・・・・・なんて」

「別にいいだろ?男のロマンだ」

「あっそ。早速夕飯にしよう?お腹すいちゃった」

「ああ、そうだな。・・・・にしても結構な量だな」





テーブルに並んでる料理は俺たちが普段食べている量の二倍はある。いつこんなに作ったのか。





「だってあの二人、てっきり泊まっていくんだとばかり思ってたから」

「なんていうか、予想外だな」

「ええ、本当に」




本当にいろんな意味でな。
あいつらは帰るし、ふぁーすとの心境も意外だったし。

フォークを持って二人で食べ始めた。


それにしてもローエンに言われた言葉が頭を駆け巡る。

相手を見つける?ふぁーすとが?






「・・・・なぁふぁーすと」

「何?」

「・・・・美味いな、今日も」


「アルフレド? 珍しいわね」

「・・・・・・・」





もし相手を見つけるためにここを出ていったら。






「?・・・・・御馳走様でした。 私疲れたからお風呂入ったら寝るね?」



行くな、行くな行くなっ・・。





「・・・・っ!」

ふぁーすと・・っ






ふぁーすとが立ち上がったのを見て俺は変な焦りを感じて慌てて立ち上がりフォークが音をたてて床に落ちる。

そしてそのまま後ろから力強く抱き締めた。






「・・・?!・・・・・アル、フ、」

「行くな」

「え・・?」

「どこにも行くな・・・」





ふぁーすとを抱く腕に力を込めるとふぁーすとの手が俺の腕に触れてきた。







「どうしたの?・・アル」

「ここに居てくれ・・・。俺はお前がいいんだ。お前じゃなきゃ・・」

「・・・・・・。プレザしか見えてないって思ってた」




直ぐに理解したのはこの事に敏感だったからなのか、。






「前に進んじゃいけないのかよ。」

「それは何? 私の事、」

「ああっ!好きに決まってるだろ! じゃなきゃ一緒の部屋で暮らそうとか言わねぇよっ!」

「・・・・・ほん、と?」

「結構な覚悟なんだよ・・。ずっと言えなかった俺が悪いのは解ってるんだ。だけどプレザの時以上に、慎重になって、・・傷つけないように、」

「アルヴィン」

「なんでその呼びか、・・っ?!」





無表情で振り向いて俺の本名に成りつつある偽名を呼んだ事にびっくりしたが、

・・今こいつ、何した?






「ん・・、キスってこんななんだね」




俺を見て笑ったあと、首に腕を回して抱きついてきた。







「不意打ちかよ・・。あのなふぁーすと・・・俺の歯止めが利いてる内にさっさと離れろ」

「歯止めが利かなくてもいいんじゃない?私は、ほら・・触れて欲しい、し?」

「?!」







爆弾発言だぞそれ。驚いたけどふぁーすとに一本取られたような今の心境が腹立たしい。






「・・だって好きなんだもん。アルを二十年、旅が終わって一年も待ってた。もういいでしょ?私はもうあの頃からアルフレドのものなんだから」

「・・・ふぁーすと。そんなこと言ってどうなっても知らないからな?」

「もう壊れるくらい愛してくれたって構わないよ?だから・・ね?」

「・・・待った無しだからな」













限界を超えた二人。

「アルヴィンさん、ふぁーすとさんは?」
「あいつなら寝てるよ」
「もう昼だよ?」
「ジュードさん、まだ子供ですね〜」
「なんで?!」
「いや・・・・なんていうかその、」
「愛の営みは結構な運動量ですからね」
「愛の・・・いいい営み?!」
「くそ〜・・穴があったら入りてぇ・・」






20111002
投稿日::20120805



エクシリア2が出ること知ってたらこれは書いてなかったと思いますっ←






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