運動は平均的、勉強は努力家タイプで上らしい。
話しかけられたら誰とでも話す。
でも自分から話しかけるのは自分と仲の良い人のみ。
それが俺の知ってる彼女のこと。
教室の前の方、窓際に女子が数名。
「お前ちょ―失礼だからソレぇ!」
特に気にしてるわけじゃないけど、思わず彼女のほうを見る。
彼女は声がでかくて、笑い声なんかも良く聞こえてくるから。
いつも楽しそうにしてるよね、というのが彼女へ周りからのイメージ。
でも、その彼女の笑顔はいつも、少しだけ眉間に皺が寄せられている。
…気がする。
こういった突っ掛かりは度々感じるが、彼女と俺は関係の無いただのクラスメートなので、何も言わない。
どんなに目が彼女を追ってしまっていてもだ。
そうして俺はあの日まで、一度も彼女と喋ったことのないまま、観察を続けた。