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はきだめ
脇役女子と過去恋



あたしの友達は、だいぶモテる。
見た目だけでなく性格も良いから、周りの女子もこれは公認的な感じの事実だ。

もちろんあたしは彼女の親友だから、彼女を良く知っている分当たり前のことだと思う。むしろ、彼女を嫌いとか思っている人間がいたなら許さない。

まあ、今のところそんな人間あたしの知る限りでは一人もいないが。

「今日も輝いてるね、ミヤ」

ちなみにあたしの名前は土城このみ。
名前が珍しいだけで(名字なんて基本的に初めての人間は読めないし)、普通な顔。
「えー?もー、このみは相変わらず意味わかんないよ!」

この本気で首を傾げるこの子がミヤ。ものすごくモテるという話の子。今日は髪をハーフアップにしている。上手だな。



ミヤは前から、誰にでも気に入られた。
でも、親友のような存在はあたしだけの様だった。クラスが離れても、クラスに友達はいるだろうに、あたしのところへしょっちゅう行ったり来たり。小学3年生頃から仲良くなり、幼なじみとかでは全然ないが、(唯一)いつも一緒にいるあたしのことを、ミヤの幼なじみだと思ってる人は結構多いらしい。
何がきっかけだったかは覚えてないけど今もこうしていられるのは、お互い嬉しいことだと思う。

ミヤの隣というポジションは、とても楽しかった。彼女自身は勿論、その彼女に寄ってくる周りがまた。
何が楽しかったって、その寄ってくる連中がもう皆してミヤを好きになるから、その相談役にあたしはなっていたのだ。
相談といっても、話を聞いたり、ミヤについて聞かれたりするだけだが。
でもそれがすごく楽しかった。

ある日までは。

女の子は基本的に恋バナ大好きだから。
やっぱり色々聞きたがりますよね。
それを聞いているうちに、そのうちの一人のことを好きになってしまったと。
いや、すごくイイ奴で、でも気持ちに気付いてもらえなくて、健気で可哀相な奴だったんですよ。
ありがちだけどね。
いつの間にか好きになっちゃったけど、もちろん誰にも一言も言わず封印。
それから積極的に聞くことはしなくなったけど、周りの「ミヤちゃんについての話を話せる人、聞ける人、聞いてくれる人」みたいな印象はすぐには変わらない。
それに内心焦りつつ、断れずにいるうちにまた、新たに…。

そんなことを繰り返しても、ミヤを嫌いになったり、当たったりすることはなかったけども。だって悪いのは自分だけだから。

かわりに恋が出来なくなってしまった。
勿論これも、ミヤのせいとは思わない。
自分が馬鹿だったせいなだけだし。
異性と話すのはその今までで慣れたし、ドキドキ感が無くなって、好きになりにくくなったというのもある。
まさに自業自得。
だけど、好きな人がいた時は、(皆ミヤを好きだったから)辛かったけど、それでも毎日がすごく楽しかった。

だから、もういいと思うことにした。
もう恋愛は充分楽しんだ、と。




―――――
あたしは彼女の隣の脇役でいい。
友達ならいつまでも楽しい思いだけ。
誰だって辛い思いはしたくないもの。

また繰り返すくらいなら、誰のことも好きにならなければいい。


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あきゅろす。
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