[通常モード] [URL送信]

ばけ×ばか
2




……。







“ミツ子さん”?




「…は?」


お前何言ってんの?と、言いたかった。


「ミツ子さん、貴女はここで十年前、ある教師と恋に落ちた。だがやはりある日それが周囲に知れ渡ってしまい、酷い虐めや嫌がらせを受けた!さらに愛する相手は他校へ転属、己は退学という処分にされ!二人はココ、教室棟の屋上から飛び下りてしまった!!いや―まさかこの学校の七不思議の一つがホントで、こうしてミツ子さんに会えるなんて!もう感激ですっ感無量です!あってかミツ子さんもしかして地縛霊とかですか!?そしたら僕ミツ子さん見ちゃったし喋ってるし道連れとかなりますか!?それは困りますよまだ七不思議全部知りませんからね!!あ、全部知ったら死んじゃうから全部は知ってしまわないようにとは思ってますけどね!そのへんは抜かりないですからご安心を!ところで僕お相手の教師さんの名前は知らないんですけど、一緒じゃないんですか?」


…ここまでのマシンガントークで、息継ぎの瞬間がわからないくらいの勢いで喋られて、あのたった一言、言えたか。
否。一言だが言えなかった。

言えなかったが、さらに言いたいことがどんどん増えてしまったから、すぐに言葉が出てこなかった。





でもまず一言。










「俺はミツ子じゃねぇよ。」







どっからどうみても正真正銘、男。




[*前][次#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!