ばけ×ばか
6
ため息をついていると、逃げないと判断したのか(逃がすつもりもないのか)、俺を離して座り、勝手に喋り始めた。
「いやあさ、研究員っていうのかな?仲間がほしくってね!ほら、僕不登校してたから、そーゆー友達少なくって」
やはり予想通り不登校だったのか。
ただ、“少なくって”が少し気になる。
「…友達いるのか?」
「いるよ!ちょっと君失礼じゃない?
てかいつまで君って呼ばせるつもり?」
いや、そっちが勝手にそう呼んでて、しかもあんまし喋らせてくれないから…、と思いつつ今更自己紹介をした。
「御影怜、だよ。好きに呼べば」
完全にもうあの作った笑顔すら消え失せた状態で、素っ気なく言う。
コイツにはしたって意味ないから。
普段周りにどんなイメージを与えようとして過ごしてるかを知らないし、もう素の俺自身に気付いているだろうし。
「怜、れい、…霊!ちょ、やっぱ惜しいよ怜が霊になって欲しかったなあッ!」
れいがれいになってほしかった、って。
まあどう変換するかはわかるけど、おかしいだろ。
「れい、れいが見えるよ。
れい、れいの後ろにもれいがいるよ。
れい、危ないよ!…とか〜」
…ややこしいとしか思えないだろコレ。
聞いてる側としては、呼びかけ以外がとてもわかりにくい。
「俺のことは怜、研究対象は幽霊かお化けって言え。」
「ん、わかったあ」
…何で少し機嫌良くなったのか。
ニヤニヤじゃないが、ニコニコが若干うざさを感じる。
「よろしくね、怜。
ちなみに僕、すごく飽きっぽいからさ。研究対象とかぽんぽん変わるけど、その度手伝ってね?」
…本当に面倒な奴に捕まってしまった。
prologue end.
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