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「そういえばさ、柚郎一部違うとかなんとか言ってなかったっけ」
「あ、柚でいーよ。柚郎ってなんか長いだろ。こっちのが呼ばれ慣れてるし」
「あ、そう?じゃあ柚、なんか一部違うとかどうとか言ってなかったっけ?」
「……アレだな、紫苑。人の痛いトコつく才能あるんじゃない?」
「え?気になったこと言っただけなんだけど」
「だからそれが。才能だな、うん」
「…………」
真顔で柚郎をじーーっと見詰める。
「…………」
柚郎も顔を逸らしてはいるが目だけこっちを向いている。
暫く睨み合って、
「ふっ」「くっ」
「「あはははは!」」
同時に吹き出して笑った。
「気が合うなぁ」
「いい友達になれそうだよ」
柚と居ると気が楽だ。
ついさっき出会ったばかりなのに、もう柚とは親友になれる気がした。
「で、俺が一部違う件についてだっけ?」
「そうそう。触れられたくないの?」
「ん〜まぁ。でもどうせすぐわかる事なんだけどさー」
「ふぅん?」
「…一部違うってのは、主に体育」
「体育が違う?…って事はまさか、一般合格者!?」
礼儀も忘れて、からあげを口に含んだまま箸で柚を指した。
柚は眉を顰めて拗ねたように頷く。
まさかだ。
ってことは柚ってめちゃくちゃ頭いいんだ。この学校の一般入試に受かるってことは、たぶん柚の偏差値は俺の偏差値より20は上だな。
「へぇ〜…すげぇ〜」
まじまじと柚の顔を見る。
綺麗な顔だ。
湊といい柚といい…顔はいいし頭もいいなんてズルイだろ。
「だから体育は紫苑たちより少ないんだ。ホントは一般の進学コースは体育コースと別メニューやるんだけど、進学コースなんて女子ばっかだろ。しかも俺らのクラスは進学コースの男子俺だけらしくて…だから俺だけ時々そっちに混ざる。一部違うっていうより一部同じだな」
「へぇ〜じゃあ俺らが男だらけで体育やってる間、柚はハーレムなんだ?」
からかい気味にいうと、柚はぞっとした表情を見せた。
「やめろよ、あいつら恐ろしいんだぞ。この学校の女子なんか女だと思わない方がいい。むしろ肉食獣だと思え」
鬼気迫る表情で言われたのだが、いまいちピンとこない。
「? 肉食系女子とかいうアレ?
男が草食化して女子の方が積極的みたいな?」
「似てるっちゃ似てるかもだけど、肉食獣と肉食系女子では根本的に違うんだよ。まずターゲットが違う。あ、いや男がターゲットなことには変わりないんだけど…」
どう表現したものかと苦悩している柚とは対照的に俺はポカンだ。
「目的が違うっていうか…ん〜あ〜俺もよくわかんない!うん!そうだよ理解したくもないし。
とにかく、奴らは腐った女たちなんだよ」
「腐った?…可愛い子がいないってこと?」
「いや、可愛い子もいるにはいる。たまに。
いいか、奴らが腐ってるのは脳ミソだ」
「は?めちゃくちゃ頭いいじゃん」
「いやそれはそうなんだけどそうじゃなくて…」
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