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「そんなつもりないけど…」

「いやある」


何をそんなにふて腐れるのか。

頭にハテナマークを浮かべていると、柚郎が来た。

俺たちの間に流れる微妙な空気を読み取ったのか、座り難そうにしている。


「えーっと…俺やっぱ向こうで食おうか…?」

「え、いいじゃん一緒に食べようよ」


第三者…ではないけど誰かもう一人いた方が空気が和らぐかもしれない、と柚郎を引き留めたのだが…


「……………」


湊の機嫌はますます悪くなっただけだ。

しかしさっきと違って仏頂面は止めて、顔だけは機嫌良さそうにしつつ不機嫌オーラを放っているもんだから
めっちゃ怖い…。


「何?なんかあった?」


と小声で聞いてくる柚郎に、苦笑いを返すことしか出来ない。

それ、俺が知りたいよ…。


場をなんとか取り持とうと、無駄に明るく話題をふる。


「そ、そうそう、芸術教科の選択何にした?俺絵が壊滅的に下手だから音楽にしたんだよね〜。楽そうだし」

「俺書道にしたー。だって音楽とか美術の方がめんどくさそうじゃん。なんか鑑賞とかして、感想文とか書かなきゃなんないだろーし。その点写すだけな書道って楽じゃね?」

「あ〜そうかも。でも書道は道具の準備とか片付けが大変じゃない?」

「それはまぁね。でも俺創作とかホント無理だからさー」


「……………」


反応してくれるのは柚郎だけで、湊はだんまり。


「……湊は?何選択したー?」

「…音楽」

「あ、俺と同じだ。じゃあ体育と音楽は同じクラスになるね」

「ああ」


か、簡潔…っ!

聞かれれば答えるけど、答え言うだけだ。

う〜〜んん…(汗)

心の中で悶えていると、パンッと前方から手を叩く音がした。


「ご馳走さま」


はやっ…!

俺なんかまだ半分も食べてないのに、黙々と食べていた湊はもう食べ終わってしまったようだ。


「俺先に部屋行ってるから」


立ち上がりこっちをじっと見る湊に、「あ、うん」とかろうじて返事を返した。






「で、なんだったわけ?」


湊の姿が人混みに紛れると、即座に柚郎が聞いてきた。


「わかんね…」


目は湊を追ったまま答えた。


どうしようこれめちゃくちゃ部屋戻りづら…。


「何?もとから仲良いの?」

「いや、今日初めて会った」

「へぇ〜それでもう喧嘩か。
幸先いいんじゃない?」


柚郎はクスリと笑いながら言う。

冗談なのはわかるが笑えない。


「てか別に喧嘩じゃないんだけど…」

「へ〜ぇ、まあドンマイ」


がっくりと項垂れていると、頭をポンポンと叩かれた。


はぁ…どうしよ。
でも今考えても仕方ないよな。なるようになるだろう。

俺バカだし。考えるのは得意じゃないや。




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あきゅろす。
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