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高杉と土方は仲がよかった。
仮、というか高杉はセフレのつもりだろうが一度体を合わせた奴の前で別の男といちゃつくのはどうかと思う。


「悪い子だね高杉クンは」


土方を殺してしまおうか。高杉の前で、じっくり、じわじわと。俺を愛さないからこうなるんだとでも言えば高杉はすぐ俺を愛してくれる筈だ。
もしくは高杉を閉じ込めて俺以外の物を何も見せず、触れさせなければ彼はいずれ俺を愛するようになるだろうか。

「本当に、やっちまおうかなぁ…」

そう言いつつ、肺に溜まった紫煙を細く吐き出す。
ゆらゆらと不安定なそれは、微かな風に煽られ空気に溶け込んだ。
気がつけば携帯灰皿は一杯になっていた。やはりイラついている時に煙草は吸うものではないと自嘲気味に笑った。









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それからあっという間にHRの時間になってしまった。
スタンダードな事をいいながらちらりと高杉を見ると、窓の外を眺めていた。
人の話は聞かなくちゃね、高杉クン。

「はい、じゃ気をつけて帰る事、」

そんな事を言えば、教室から出て行く生徒達。それに混じって出て行こうとする高杉にわざとぶつかり、その耳元で囁いた。


『5:00に屋上へ来い』と。


言うことを聞かない飼い猫には少しお灸を据えてやる必要があった。
大事な物を失うなんていう、お灸を。
その為の必要条件を満たす為に、俺は剣道部へ向かった。


ー"土方の居る"剣道部へと。










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「何だよ、急に呼び出して」

「悪ィ、これ見せてあげたくて」

ぼす、と其れを高杉の放った。其れというのは勿論土方の事。高杉の事問い詰めたら知らないなんてほざきやがるから、壁に後頭部をたたきつけ、腹部を数回蹴ってやれば動かなくなった。(一応生きてはいるけど。)

「え、…」

血にまみれた土方を見て、漸く自分の置かれた状況を理解したようだ。
茫然とする高杉を見ていると、自然に口角が上がった。

「銀八、何で…」
「高杉クンの躾の為に力を貸して貰っただけだけど?言うこと聞かない飼い猫にはお灸を据えて、従順にしないといつ噛むか分からないじゃん」

「し、つけ?」

「そ、躾。いつまでも俺の物になって愛してくれない高杉が悪いんだよ?さっさと俺の物になってくれれば土方はこんな風にならなくて済んだのにね」

高杉には充分過ぎたかな?まあこれに耐えられないようじゃ俺の愛なんか受け止められる訳ないんだけどね。重くて深いよ、俺の愛は。

「高杉"愛してる"、は?」

「え、…」

「早く言わないと、今度はコイツの喉踏み潰すよ?」

土方の首に足を置いた。思いっきり力を込めて押し潰せば高杉はどんな反応をするのか、とちらりと興味が湧いた。


「愛して、る」

「ん、良い子」


震えながらその言葉を口にする高杉に、内心笑いが止まらなかった。






重力の定義
俺の愛で潰れてしまえばいい。俺の愛で壊れてしまえばいい。




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