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なあ、土方。
俺、自分が思ってたよりお前に好かれてるって思っていいんかな。
少しくらい自惚れてもいいかな。
「嫉妬?」
「そうだよ。好きな人に自分だけを見てほしいとか、かまって欲しいとかさ、そんなの」
俺は土方の背に手を回して、ゆっくりと子供に教えるようにそういった。
「だとしたら、俺ぁかなり嫉妬深いほうかもしんねぇ。なんっつうか、実は最近よぉお前が他のヤツと喋ってたり、触られたりしてっとすげぇイライラすんだ」
「え」
「こんな俺は嫌か?銀時」
腕に篭る力。
ギュウッと抱きしめながらそんなこと言われて。
嫌なはずないだろ。
「んなわけないだろ。寧ろ嬉しい、かな」
「嬉しい?なんで」
顔を上げて俺の顔をマジマジと見てくる。
「いや、なんつうかさ。好きじゃなかったらそんな気持ちなんて持ち合わせねーだろ?嫉妬するってこたあ、多少なりとも好かれてるかなあと思ってよ‥‥‥だから正直嬉しかったりするわけよ」
そういって頬笑むと耳まで真っ赤にする土方。
「そそそ、そうか。そりゃあお前のこと好きだからな。多少とかじゃなくな、結構、好きだし」
目を逸らしながらいう姿にクラクラする。まいったなあ。
かわいかったり、格好良かったり、どんだけ俺のハート掴めばいいんだよ。
真っ赤になった顔を引き寄せてキスをした。
「早く帰ろうぜ、土方。そろそろ本気で風邪引いちまう。それに‥‥‥早く、したくなってきた」
やんわりと布地の上から主張しているそれを握ると、ピクリと反応した。
「あ、ああ‥‥‥そうだな。つーかお前、その顔エロいし。頼むから俺以外のヤツにんなこというんじゃねぇぞ」
「当たり前だろ。土方限定だっつうの」
夜の闇に紛れて手を握り歩き出す。
「なあ、一つだけ聞いていいか?」
「ん?」
「その、た、高杉とは」
「なんもないよ」
「だってあんなにくっついてたじゃねぇか。高杉もお前も嬉しそうにして」
「高杉が嬉しそう?まあそう見えないこともないけど、あれは写真に写ると魂が減るとかなんとか言って逃げ回ってたから、逃げれないように捕まえてただけだよ。かなり焦って逃げようとしてたっけなあ」
「‥‥‥あの高杉が?カメラから逃げる?」
「ああ、人相書きじゃあふてぶてしい顔だからわかんないかもだけど、アイツ結構噂とか信じやすいタイプなんだぜ。よくからかって遊んでた」
「意外だな‥‥‥つうか、お前は昔からSかよ。本当にそれだけか」
「うん」
ホッとした顔の土方。
幼い日の恋心は胸の中にしまっておく。
「ならいいけどよ。さっさと帰るか。なんか急に寒くなってきた」
「じゃあ帰ったら一緒にお風呂入ろっか」
「‥‥‥やけに今日は積極的じゃねぇか」
「んー、土方がついに愛に目覚めてくれたから?」
「ついにとかいうな。こちとら随分前からテメェに嵌まっちまってんだよ。覚悟しとけよ、自分から誘ったんだから容赦はしねぇかんな」
「ちょお待て!愛を確かめ合うには優しくソフトにだろー」
「俺の愛は激しいんだよ」
そんなことを言い合いしながら歩く帰り道はとても楽しくて。
今じゃ滅多に会わない顔つきの変わってしまった旧友を思い出す。
なあ、高杉。
帰る家があるっていいよな。
俺が今、あったかい気持ちになってるみたいにお前にもホッとする場所があるといいな。
願いを込めて星空を見上げる。
冷たい空気の秋空に、星が綺麗に煌めいていた。
20091020
→あとがき
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