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見つけた。
随分と寒くなってきたのにこんな川辺で座り込んで何してんだよ、お前。
ったく、だから放っておけないっつうんだよ。
乱れた呼吸を整え、土方の隣に座る。
「風邪ひくぞ」
「寒さにはつえーからいいんだよ」
俺のほうを見ずに、流れる川を見ながら言う土方なんか嫌だ。
「俺は寒い。風邪引く。だから、帰ろ」
「どこにだよ」
「俺ん家に決まってんでしょ」
立ち上がり、土方に手を差し延べる。
「早く。帰るよ」
しばらく俺の顔と手を交互に見つめていたが、早く早くと急かすように指を動かすと、手を取り立ち上がった。
「なあ、土か、んっっ‥‥んむ‥‥はっ‥‥‥な、なんだよ急に」
立ち上がったかと思ったら、抱きつかれ、キスされた。
唇が離れても俺の肩に顔を埋めギュッと抱き着いている。
これじゃあ動こうにも身動きがとれない。
「なんかよ、俺あ、実はすげぇ独占欲強いみてぇだ」
「‥‥‥うん」
「さっきな、万事屋で、まあ偶然写真見つけてな」
「やっぱり見たんだ、アレ」
「ああ、悪ィ。見るつもりはなかったんだがテーブルの下に落ちてたから拾った‥‥‥あれ、お前と高杉晋助だろ。随分顔付きが違ったが。本当に一緒にいたんだな、お前ら」
幕府内では今だに俺は指名手配が出ているのだろうか。幸い、名前も顔もバレてはいない。ただ『白夜叉』という存在だけが知れていた。
「だったら?攘夷浪士を取り締まる副長さんは俺を捕まえるの?それで悩んで飛び出しちゃったの?」
静かに目を閉じ、覚悟を決めて言葉を口に出す。
俺らは、戦争に負けた。
負けたほうは、処罰の対象となり追われる身となる。
「んなこと言ってんじゃねぇよ!お前は今はなんもしてねぇだろ。ただ、俺は‥‥その時を一緒に過ごした高杉にムカついた。なんでこの写真に写ってんのは自分じゃないんだろうって。銀時が笑顔を向けてんのは俺にじゃないんだろうって」
「土方‥‥」
「そんなこと思ってたらよ、高杉に抱きついてるお前が憎らしくなってきた自分がいてな。正直、どうしてこんなんになるのかわかんなくてな。頭、冷やしてた」
なんか俺、どうしたらいいんですか?すっげえかわいいんですけど、この人。
「土方、それね、その感情なんて言うか知ってる?」
「感情?」
「ああ。それな、『嫉妬』っていうんだよ」
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